フィットネス大手が伸ばしているのは、ジムではなく介護リハビリ

フィットネス大手が伸ばしているのは、ジムではなく介護リハビリ

スポーツクラブ大手の決算を開くと、理学療法士にとっての意味が見えてきます。上場企業ルネサンスの2026年3月期は、スポーツクラブ事業が退店と減損を計上する一方、介護リハビリ事業が2割超の増収でした。フィットネス企業への転職を考えるとき、入口はジム部門とは限りません。

2026年3月期の内訳

ルネサンス(東証プライム・2378)が2026年5月8日に公表した決算説明資料によると、全社の売上高は64,933百万円(前期比+1.9%)、営業利益1,565百万円(同▲19.6%)、当期純損失2,106百万円。特別損失として退店費用約16億円、資産除去債務の見積変更約8億円、減損約11億円(38施設が対象)を計上しています。

事業 状況
スポーツクラブ 231施設(直営141・受託86)。退店6店・新規2店。会員数442,085名
介護リハビリ 87施設・売上2,467百万円(前期比+22.1%)。リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」6施設を新規開設

拡大はM&Aで進んでいる

介護リハビリの施設数が増えた主因は買収です。同社は2025年11月27日、通所介護と通所介護フランチャイズ事業を行う株式会社楓の風(横浜市)の株式を取得し、12月1日付で子会社化すると発表しました。楓の風は直営13拠点・フランチャイズ23拠点を持ちます。この子会社化で36施設が加わりました。

また、M&A専門メディアの報道によれば、同社は2025年12月にタカラレーベン系のレーベンコミュニティからリハビリ特化型デイサービス「マイリハ」5施設を譲受すると発表し、譲受日は2026年4月1日予定とされています(ルネサンスの発表資料本体は未確認)。

読み取れること

スポーツクラブ事業は退店と減損の局面にあり、介護リハビリ事業は買収を伴って2割超の増収。同じ企業の中で、資本が向かっている方向がはっきり分かれています。

この構図は、フィットネス企業を転職先として見るときの入口を変えます。運動指導の職として想像されるのはスポーツクラブ部門ですが、実際に人員を増やしている領域は通所介護・リハビリ特化型デイサービスであり、そこはリハビリ職の経験がそのまま業務内容に接続する領域です。

フィットネス企業への転職を考える理学療法士への影響

「フィットネス企業に転職する」と聞くと、多くの人はジムのフロアで働く姿を思い浮かべます。ただし決算を見る限り、上場企業が人と資本を投じているのは通所介護・リハビリ特化型デイサービスのほうです。同じ会社に入っても、配属される事業によって仕事の中身も評価のされ方も変わります。

企業を検討するときに先に見ておきたいのは、決算資料のセグメント別の売上と施設数の推移です。上場企業であれば公開されており、どの事業が伸びていてどの事業が退店しているかは数分で読めます。求人票よりも情報量が多い場面は少なくありません。

もうひとつ、この領域では事業譲渡や子会社化で経営主体が変わることが頻繁に起きています。デイサービスに移る場合は、勤務先の運営法人が変わりうる前提で、雇用条件がどこまで引き継がれるのかを確認しておくと安全です。急性期や回復期で培った評価の力は施設形態を越えて持ち運べますが、雇用条件は自動的には持ち運べません。

出典

  • 株式会社ルネサンス「2026年3月期 決算説明資料」(2026年5月8日) s-renaissance.co.jp(2026年8月31日確認)
  • 株式会社ルネサンス 適時開示「株式会社楓の風の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2025年11月27日) s-renaissance.co.jp(2026年8月31日確認)
  • 日本M&Aセンター M&Aニュース(2025年12月1日)※「マイリハ」5施設の譲受に関する報道。ルネサンスの発表資料本体は未確認

※本記事は特定企業への転職を推奨するものではありません。決算数値は同社の公表資料に基づきます。

この記事を書いた人

  • 向井タカトシ

    向井タカトシ
    理学療法士 / パーソナルジム経営者

    理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。

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