フィットネス市場は過去最高 ただし指導職の席が増えたわけではない

フィットネス市場は過去最高 ただし指導職の席が増えたわけではない

フィットネス市場が過去最高を更新しています。「ジムが増えている」という話は、病院の外を考える理学療法士にとって明るい材料に見えます。ただし施設数の内訳を見ると、増えているのは運動指導職を必要としない業態のほうです。

市場規模は過去最高、しかし3社に1社が赤字

帝国データバンクの業界動向調査(2025年5月16日発表)によると、フィットネスクラブ・スポーツジムの市場規模は2024年度で約7,100億円。過去最高だった2019年度の7,085億円を上回りました。主要大手15社の店舗数は2024年度末で約6,500店で、10年前の約2.3倍です。

一方、同調査の損益内訳は黒字48.8%・赤字31.7%・減益15.9%。市場全体は伸びていても、事業者単位では3社に1社が赤字という状態です。

施設数の内訳を見る

矢野経済研究所の「フィットネス施設に関する調査(2025年)」(2026年3月12日発表、2025年8月時点)では、全国のフィットネス施設は13,876施設。業態別の内訳は次のとおりです。

業態 施設数 構成比
24時間型 5,034 36.3%
パーソナルトレーニングジム 2,368 17.1%
小規模型 2,156 15.5%
ヨガ型 1,877 13.5%
総合型 1,240 8.9%
その他 1,201 8.7%

さらに2024年9月〜2025年8月の新規開業1,266施設のうち、24時間型が513施設(40.5%)、ヨガ型が348施設(27.5%)、パーソナルが278施設(22.0%)を占めています。

報道によると、セルフ型ジムの代表であるchocoZAPは2026年8月14日時点で国内2,030店舗・会員116.7万人の規模に達しています(RIZAPグループの2027年3月期第1四半期決算にもとづく報道。同社の開示資料本体は未確認)。

「施設が増える」と「指導職の席が増える」は別

24時間型とセルフ型は、そもそも常駐の運動指導者を前提としない業態です。施設数の増加の大半がこの領域で起きている以上、施設数と指導職の求人数は連動しません。反対に、有資格者の指導が商品の中心にあるのはパーソナルトレーニングジムと小規模型で、こちらは合計しても全体の3割程度です。

フィットネス業界を目指す理学療法士への影響

「フィットネス市場が伸びているから、理学療法士の働き口も増える」という話は、施設数の内訳を見ると成り立ちにくくなります。伸びているのは無人・セルフ型で、そこに運動を評価して処方する役割は置かれていません。市場の大きさと、自分が入れる席の数は別の数字です。

この領域を検討するなら、求人を見る前に業態で分類することをおすすめします。24時間型なのか、パーソナルなのか、小規模型なのか、総合型なのか。業態が決まれば、報酬の出どころ(会費か、セッション単価か、業務委託か)と、自分の評価スキルが値段になる部分が見えてきます。

そのうえで確認したいのは、指導が売上の中心にある業態かどうか、そして事業者が黒字かどうかの2点です。市場全体では3社に1社が赤字という調査結果が出ています。急性期や回復期での経験は、施設形態が変わっても評価の土台としては持ち運べますが、それが値段になるかどうかは業態の設計で決まります。

出典

  • 帝国データバンク「フィットネスクラブ・スポーツジム 業界動向調査(2024年度)」2025年5月16日発表 tdb.co.jp(2026年8月31日確認)
  • 矢野経済研究所「フィットネス施設に関する調査(2025年)」2026年3月12日発表・2025年8月時点の施設数 yano.co.jp(2026年8月31日確認)
  • RIZAPグループ 2027年3月期第1四半期決算にもとづく報道(2026年8月19日)。同社開示資料本体は未確認のため、店舗数・会員数は報道ベースの数値です。

※市場規模・施設数は調査会社ごとに定義と集計時点が異なります。本記事では各調査の名称・発表日・基準時点を併記しています。

この記事を書いた人

  • 向井タカトシ

    向井タカトシ
    理学療法士 / パーソナルジム経営者

    理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。

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