発症48時間以内に立位 国内単施設の観察研究が示したこと

発症48時間以内に立位 国内単施設の観察研究が示したこと

急性期脳卒中に、どこまで踏み込んだ介入をしてよいか。国内の単施設から、発症48時間以内に立位を開始し14日間頻回に実施した場合の結果が報告されています。日本語誌に載った国内データで、院内提案に使いやすい形です。

研究の概要

渡辺広希・高田祐輔・山本洋司(関西電力病院リハビリテーション部)「急性期脳卒中患者における高頻度リハビリテーションの有効性および安全性」理学療法学 52巻5号 267–275頁、2025年。

項目 内容
デザイン 観察研究(2群比較)。ランダム化比較試験ではない
対象 テント上病変・保存的治療例。高頻度群121名/対照群93名
介入 発症後48時間以内に立位を開始し、14日間頻回に実施
結果 退院時mRS(<2)は両群間で有意差なし。FAC(>2)は高頻度群で有意に多い
安全性 不動関連合併症・神経学的有害事象は両群間で有意差なし

結論は「安全に実施可能で、歩行自立度を良好にする可能性がある」というものです。抄録にはオッズ比やp値の具体的数値、limitationの明示がありません。

読むときの注意

単施設の観察研究です。ランダム化されておらず、群の割り付けに選択バイアスが入る可能性があります。また、早期の高頻度介入については、海外で異なる方向の結果を示した試験もあり、「早ければ早いほど良い」という単純な結論にはなっていません。

制度の側では、令和8年度改定で早期リハビリテーション加算が入院初日から3日目まで60点/1単位に手厚くなり、算定上限が14日に短縮されました。休日リハビリテーション加算も新設されています。

急性期の離床判断への影響

この報告の使いどころは、国内の日本語誌に載った実データであるという点にあります。海外のRCTを引くより、院内の会議では通りやすい場面があります。ただし観察研究であることを伏せて使うと、後で信頼を失います。

制度の動きと合わせて読むと、方向は一致しています。入院初日から3日目の介入が点数として最も評価され、この研究も48時間以内の立位開始を扱っています。制度とエビデンスが同じ方向を向いている局面では、体制の提案が通りやすくなります。

提案を考えている方は、まず自施設の「入院からリハビリテーション処方までの平均日数」と「初回介入までの日数」を数字で出してみてください。この2つを言えないまま体制の話をしても、議論が具体化しません。数字を持ってから、この研究と改定の内容を並べる。順序としてはそちらが早いと思います。

出典

  • 渡辺広希・高田祐輔・山本洋司「急性期脳卒中患者における高頻度リハビリテーションの有効性および安全性—テント上病変ならびに保存的治療例を対象とした検討—」理学療法学 52(5):267-275, 2025年, DOI: 10.15063/rigaku.25-12583(抄録のみ確認、本文未読)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)

※単施設の観察研究であり、治療推奨を示すものではありません。臨床判断は主治医および所属施設の方針に従ってください。

この記事を書いた人

  • 向井タカトシ

    向井タカトシ
    理学療法士 / パーソナルジム経営者

    理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。

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