遠隔心臓リハのプログラムが薬事承認 画面越しに運動を診る職域

遠隔心臓リハのプログラムが薬事承認 画面越しに運動を診る職域

医療者のオンライン監視下で、患者が自宅で運動療法を行う。それを支援する医療機器プログラムが、2025年6月に国内で薬事承認されました。「遠隔で運動を診る」という働き方に、制度上の足場ができた事例です。

承認されたもの

エア・ウォーターは2025年7月8日、遠隔心臓リハビリテーションを支援する医療機器プログラム「リモハブ CR U」が同年6月23日に薬事承認を取得したと発表しました。

項目 内容
承認番号 30700BZX00131000
一般的名称 解析機能付き心臓運動負荷モニタリングシステム用プログラム
構成 エルゴメータ「リモハブ cycle+」、ウェアラブル心電計「リモハブ rhythm+」と組み合わせて使用
使い方 医療者のオンライン監視下で、患者が自宅で運動療法を実施
対象 心疾患患者(特に心不全)

同社調べで国内初の承認とされています。発表時点では「今後は保険適用と上市を目指す」段階で、2026年8月時点の保険適用の状況は本記事では確認できていません。

政策側が条件として掲げているもの

経済産業省が2026年3月27日に内閣府の会議へ提出した資料では、デジタルヘルスの世界市場規模を2024年約67兆円から2034年約369兆円と推計しています(いずれも世界全体で、国内の数字ではありません)。

注目したいのは、重点施策として掲げられている表現です。「エビデンスが明確化された効果的なヘルスケアサービスの創出・拡大」「企業・保険者からの予防・健康投資の拡大」。市場を広げる方向でありながら、条件としてエビデンスが名指しされています。

心臓リハビリテーションという領域の特徴

心大血管疾患リハビリテーション料の施設基準は、医師・看護師・理学療法士いずれも「経験を有する」という規定であり、特定の学会認定資格名は記載されていません。つまりこの領域では、資格ではなく経験と、その経験を説明できることが人員要件の実質になります。遠隔という形態が加わると、そこに「画面越しでも状態を判断できるか」という別の説明責任が乗ります。

心臓リハに関わる理学療法士への影響

遠隔リハビリテーションは長く「いずれ来る」と語られてきた領域ですが、薬事承認という形で線が引かれたのは新しい段階です。ただし承認と保険適用は別で、収載されなければ現場の日常業務にはなりません。「承認された」を「使えるようになった」と読み替えないことが大事だと考えています。

この領域に関心があるなら、先に確認しておきたいのは自施設が心大血管疾患リハビリテーション料を届け出ているかどうかです。届け出ていれば、遠隔での実施を検討する余地が制度上あります。届け出ていない施設で経験を積むことは難しく、これは個人の努力では動かせない前提条件です。

そのうえで、政策文書が条件に掲げているのが「エビデンスの明確化」である点は覚えておく価値があります。運動負荷の設定根拠、中止基準、効果の測り方を自分の言葉で説明できるかどうか。これは対面でも遠隔でも同じ技能で、しかも施設を変えても持ち運べます。

出典

  • エア・ウォーター株式会社「遠隔心臓リハビリテーションを支援する医療機器プログラムの薬事承認取得について」(2025年7月8日) awi.co.jp(2026年8月31日確認)
  • 経済産業省 提出資料(内閣府 掲載、2026年3月27日) cao.go.jp(2026年8月31日確認)
  • 厚生労働省 近畿厚生局「様式41 心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)(Ⅱ)」 kouseikyoku.mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)

※保険適用の状況は変わります。最新の収載状況は厚生労働省の告示および製造販売業者の発表をご確認ください。本記事は特定の製品を推奨するものではありません。

この記事を書いた人

  • 向井タカトシ

    向井タカトシ
    理学療法士 / パーソナルジム経営者

    理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。

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