ロボットを使った歩行練習には、診療報酬上の点数があります。ただし対象疾患は限定されています。脳卒中は含まれていません。「保険が効くロボットリハ」を正確に説明できるかどうかは、患者や家族への対応で実務的な差になります。
点数と対象疾患
HAL医療用下肢タイプ(JPモデル、医療機器承認番号 22700BZX00366000)は、診療報酬上、J118-4「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)」として算定されます。
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 歩行運動処置 | 1日につき1,100点 |
| 難病患者加算 | 900点 |
| 導入期加算 | 導入期5週間は1日につき2,000点(9回を限度) |
対象疾患は、脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、遠位型ミオパチー、封入体筋炎(IBM)、先天性ミオパチー、筋ジストロフィーの8疾患に加え、HTLV-1関連脊髄症(HAM)または遺伝性痙性対麻痺です。
神経筋難病と脊髄疾患に限定されており、脳卒中は対象に含まれていません。
新型機と治験の状況
CYBERDYNEは2026年5月20日、新型「医療用HAL下肢タイプ C」(承認番号 30700BZX00314000)の国内レンタル販売開始を発表しました。従来の4サイズ運用を簡素化し、1台で身長150cm〜190cmに対応するとされています。対象疾患は従来モデルと同様で、公的医療保険が適用されると記載されています。
あわせて、脳卒中(日本)および脊髄損傷(ドイツ)を対象とした治験が進行中とされています。治験段階であり、現時点で脳卒中への保険適用はありません。
上肢側の動き
運動量増加機器加算は、リハビリテーション総合計画評価料に月1回150点を加算するもので、対象は脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う上肢または下肢の運動機能障害患者、発症日から起算して2月を限度とされています。令和8年度改定では上肢と下肢が分離されたと報じられていますが、告示原文での確認はできていません。
ロボットリハに関わる理学療法士への影響
ロボットリハビリテーションの話で最も誤解されやすいのが、承認と保険適用の区別です。薬事承認されていることと、その疾患で保険が使えることは別です。脳卒中の患者や家族から「ロボットのリハビリは受けられますか」と聞かれたとき、ここを分けて答えられるかどうかで説明の質が変わります。
確認しておきたいのは2点です。自施設が歩行運動処置を届け出ているか。そして、届け出ている場合、対象となる患者が実際にどれだけいるか。対象疾患が神経筋難病中心である以上、扱う機会は施設の患者層に強く依存します。
そのうえで、機器を使いこなす技能は、対象疾患が広がったときに効いてきます。治験が進行している以上、数年後に適応が変わる可能性はあります。いま扱える施設にいるなら、その経験は先行者の持ち物になります。ただし「いずれ広がる」を前提に転職先を決めるのは、時期が読めない賭けになります。
出典
- CYBERDYNE「HAL医療用下肢タイプ(JPモデル)」 cyberdyne.jp(2026年8月31日確認)
- CYBERDYNE「新型 医療用HAL下肢タイプ 国内レンタル販売開始」(2026年5月20日) prtimes.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「医療技術の評価(案)」(令和8年1月15日・診調組 技-2-1) mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※算定要件および対象疾患は改定されることがあります。告示・通知の原文と所属施設の届出状況をご確認ください。運動量増加機器加算の令和8年度改定後の構成は、告示原文での確認ができていません。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。