2030年に電子カルテ概ね全機関 国は工程表で期限を切っている

2030年に電子カルテ概ね全機関 国は工程表で期限を切っている

紙とローカルなシステムで完結する働き方が、あと何年続くのか。この問いには、国が公式に期限を書いています。医療DXの推進に関する工程表です。2030年度に「概ねすべての医療機関で電子カルテ導入」と明記されています。

工程表の内容

2023年5月29日、医療DX推進本部幹事会が「医療DXの推進に関する工程表」を決定しました。

時期 内容
2023〜2026年度 全国医療情報プラットフォームを段階的に構築
2026年度 医療機関等システムのクラウド化開始/介護情報基盤の全国実施
2030年度 概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入

現在地

厚生労働省が2026年3月12日に公表した資料によると、令和5年時点の電子カルテ普及率は次のとおりです。

区分 普及率
病院全体 65.6%(4,638/7,065施設)
400床以上 93.7%(609/650)
200〜399床 79.2%(956/1,207)
200床未満 59.0%(3,073/5,208)
一般診療所 55.0%(57,662/104,894)

未導入の診療所約47,232施設のうち54.2%が「導入不可能」と回答しています。政府目標は令和12年12月31日までに普及率約100%です。

標準型電子カルテは2026年3月時点で開発準備・開発段階にあり、2026年度中に完成予定、2026年夏に具体的な普及計画を策定するとされています。

電子カルテ移行と現場の理学療法士への影響

この数字で見落とされやすいのは、普及率が施設規模で大きく違うという点です。400床以上は93.7%ですが、200床未満は59.0%、診療所は55.0%。つまり中小規模の病院やクリニック、そこに併設される訪問リハビリテーションでは、記録のデジタル化度合いがまったく違います。

転職や異動を考えるとき、電子カルテの有無は待遇の話ではなく働き方の話として効いてきます。記録に紙が残っている職場では、同じ単位数を取っても事務作業の総量が変わります。求人票には書かれない項目なので、見学や面談で聞くしかありません。

そのうえで、2030年度という期限が切られている以上、中小規模の施設では今後数年のうちに導入対応が発生します。導入の当事者になる可能性が高い立場なら、それは負担であると同時に、部門の要件を反映させられる数少ない機会でもあります。リハビリテーションの記録が現場で使える形になるかどうかは、導入時に誰が意見を言ったかで決まります。

出典

  • 内閣官房「医療DXの推進に関する工程表」(2023年5月29日) cas.go.jp(2026年8月31日確認)
  • 厚生労働省「電子カルテの普及について」(令和8年3月12日・第28回健康・医療・介護情報利活用検討会 資料) mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)

※工程表の内容および目標時期は見直されることがあります。厚生労働省・内閣官房の最新の発表をご確認ください。

この記事を書いた人

  • 向井タカトシ

    向井タカトシ
    理学療法士 / パーソナルジム経営者

    理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。

Design your career.

理学療法士のキャリアで迷ったら、自分に合ったキャリアロードマップをご覧ください

キャリアロードマップはこちら