令和8年度診療報酬改定では、理学療法士が施設基準の人員として名指しされる加算が増えました。看護・多職種協働加算の新設と、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の病棟横断的な拡大です。所属はリハビリテーション部門でも、数えられる場所が病棟へ移りつつあります。
看護・多職種協働加算の新設
急性期一般入院料4等を対象に、看護・多職種協働加算が新設されました。加算1が1日277点、加算2が1日255点です。要件は看護職員を含む多職種を25対1以上で配置し、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・臨床検査技師が協働することとされています。
リハ・栄養・口腔の連携が病棟を越えて広がった
急性期のリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、加算1が120点から150点/日に増点され、要件を緩和した加算2(90点/日)が新設されました。加算1は休日のリハビリテーション実施割合が平日の8割以上・ADL低下患者割合3%未満、加算2は7割以上・5%未満です。
さらに同種の評価が他の病棟にも設けられました。
| 病棟 | 点数 |
|---|---|
| 急性期(体制加算1/2) | 150点/90点(1日につき) |
| 地域包括医療病棟(加算1/2) | 110点/50点 |
| 地域包括ケア病棟 | 30点(14日を限度) |
専従の考え方も動いた
同じ改定で、疾患別リハビリテーション料の専従者が従事できる業務の範囲が明確化され、兼任できる範囲が広がりました。地域包括医療病棟等に配置される療法士が退院時リハビリテーション指導料等の業務に従事できること、病棟外での業務が可能であることも明確化されています。
つまり、リハビリテーション室で単位を積む働き方と、病棟の人員として配置される働き方の境界が、制度の側から緩められた形です。
病棟配置される理学療法士への影響
今回の改定で起きているのは、理学療法士が「リハビリテーション室のスタッフ」から「病棟の配置人員」として数えられる方向への移動だと考えています。加算の要件に職種名が書かれるということは、その病棟の施設基準を満たす構成要素に自分が入るということです。
この変化は評価のされ方を変えます。単位数は個人の稼働量ですが、ADL低下患者割合や休日実施割合は病棟単位の指標で、看護師や管理栄養士と一緒に動かす数字です。個人の技術だけでは動かず、逆に言えば、多職種の中で自分の見立てを共有できる人の貢献が見えやすくなります。
まず確認しておきたいのは2点です。自施設が算定している加算のうち、要件に理学療法士が含まれているものはどれか。そして自分は専従・専任・兼任のどれとして届け出られているか。この2つは事務部門が把握しており、聞けば分かります。求人を見るときも、「病棟専従」「病棟配属」という言葉が何を指しているのかを面談で具体的に確認しておくと、入職後の想像とのずれが小さくなります。
出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 4.包括期・慢性期入院医療」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※施設基準および届出の詳細は、告示・通知の原文と所属施設の届出状況をご確認ください。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。