令和8年度の介護報酬改定は、通常の改定年を待たずに実施された期中改定でした。改定率は+2.03%で、その中心は処遇改善です。訪問リハビリテーションが初めて対象になりましたが、加算率は事業種別で1桁違います。そして配分を決めるのは事業所です。
加算率は事業種別で大きく違う
厚生労働省の通知(老発0313第6号・令和8年3月13日)に示された加算率です。令和8年6月以降の適用となります。
| サービス | 加算Ⅰイ | 加算Ⅰロ | 加算Ⅱイ | 加算Ⅲ | 加算Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|
| 通所リハビリテーション | 10.3% | 11.1% | 10.0% | 8.3% | 7.0% |
| 介護老人保健施設 | 9.0% | 9.7% | 8.6% | 6.9% | 5.9% |
| 訪問リハビリテーション | 今回新設。加算率は1.5〜1.8%の水準 | ||||
加算率は介護報酬の総単位数に乗じる形で算定されます。訪問リハビリテーションは、これまで処遇改善加算の対象外でした。今回の改定で訪問看護・居宅介護支援とともに新設され、対象に入っています。ただし通所リハビリテーションの加算率と比べると6分の1程度で、原資の厚みはまったく異なります。
あわせて、処遇改善加算の対象者が介護職員から介護従事者全体へ拡大されました。
制度が想定している賃上げ額
厚生労働省の資料では、月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置に加え、生産性向上・協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に月0.7万円(2.4%)の上乗せが示されています。介護職員については最大で月1.9万円(6.3%)という水準です。
ここで注意したいのは、この「最大月1.9万円」が介護職員を対象とした水準として説明されている点です。
配分は事業所の判断
通知には次の趣旨が示されています。介護職員、特に経験・技能のある介護職員の処遇改善が重要であることに留意しつつ、介護サービス事業者等の判断により、事業所内で柔軟な配分を認める。ただし職務内容に見合わない著しく偏った配分は認められない、というものです。
つまり加算が算定されていても、リハビリテーション職にどれだけ配分されるかは制度が決めていません。事業所の配分ルール次第です。
処遇改善を受け取る理学療法士への影響
訪問リハビリテーションが処遇改善加算の対象に入ったことは前進ですが、加算率1.5%前後という水準は、通所リハビリテーションの10%台とは別の桁です。「対象になった」と「原資が厚くなった」を分けて理解しておかないと、期待と実際がずれます。
そのうえで、この制度でいちばん見落とされやすいのは配分が事業所の裁量であるという点です。加算が入っていることと、自分の給与が上がることは自動的にはつながりません。ここは制度を読むだけでは分からず、事業所に確認するしかない部分です。
確認する項目を決めておくと聞きやすくなります。自事業所が算定している加算の区分(Ⅰ〜Ⅳ、イ/ロ)はどれか。配分のルールが文書化されているか。理学療法士は配分対象に含まれているか。この3つは事業所が把握している事実で、待遇交渉ではなく事実確認として尋ねられます。転職の面談でも同じ3つが使えます。
出典
- 厚生労働省 老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老発0313第6号・令和8年3月13日) mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定(処遇改善加算の拡充)」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※訪問リハビリテーションの加算区分と加算率の対応は、通知の区分表をご確認ください。加算の算定状況および配分方法は事業所ごとに異なります。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。