病院で働く理学療法士の給与を測る公的な物差しのひとつが、中央社会保険医療協議会の医療経済実態調査です。ここでは「医療技術員」という括りで数字が出ています。全体平均と、医療法人立に絞った数字を並べると、59万円の差が現れます。
第25回医療経済実態調査の数字
第25回医療経済実態調査(令和7年実施・令和7年11月26日公表、対象は令和6年度)の一般病院における職種別の平均給料計は次のとおりです。「平均給料計」は平均給料年(度)額と賞与の合計です。
| 職種 | 平均給料計 | 備考 |
|---|---|---|
| 医師 | 14,845,784円 | 一般病院(全体) |
| 看護職員 | 5,407,673円 | 同上 |
| 医療技術員 | 4,816,071円 | 中央値 4,581,962円/前年度比 +1.6% |
| 医療技術員(医療法人立) | 4,229,911円 | 中央値 4,229,797円/前年度比 +0.9% |
「医療技術員」は理学療法士を含む括りで、作業療法士・言語聴覚士・臨床検査技師・診療放射線技師なども同じ区分に入ります。ここでも職種単独の数字は出てきません。
差が出ているのは「職種」だけではない
注目したいのは開設者別の差です。一般病院全体の医療技術員が4,816,071円であるのに対し、医療法人立に限ると4,229,911円。その差は約59万円です。
そして看護職員との差も約59万円。つまりこの調査では、設置主体の違いが、職種の違いと同じくらいの幅で効いていることになります。国公立・公的・社会保険関係・医療法人立といった開設者の区分は、給与テーブルや賞与の算定根拠がそもそも別体系であることが多く、同じ地域・同じ規模の病院でも前提が異なります。
前年度比も、全体が+1.6%、医療法人立が+0.9%と差がついています。賃上げの原資が制度側から入る局面でも、その反映速度は設置主体によって同じではないことがうかがえます。
給与を比較する理学療法士への影響
収入について考えるとき、多くの人が最初に見るのは職種や経験年数ですが、この調査で見落とされやすいのは設置主体という変数です。同じ理学療法士、同じ年数でも、開設者が違えば給与テーブルも賞与の算定根拠も別の体系にあります。ここは努力では動かせず、勤め先を選ぶ段階でしか動かせません。
まず一度やってみていただきたいのは、自施設の開設者区分(国公立・公的・医療法人立など)を正確に確認したうえで、就業規則や給与規程で賞与が何を基準に算定されているかを読むことです。月数固定なのか、業績連動なのか、基本給のみに掛かるのか諸手当を含むのか。ここを読んでいる人は多くありません。
そのうえで、求人を比較するときは月給レンジだけでなく、開設者区分と賞与の算定根拠を並べて見ると、比較の精度が変わってきます。平均値は判断材料であって答えではなく、最終的に効いてくるのは自施設の規程に何が書いてあるかです。
出典
- 厚生労働省・中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)の概要」令和7年11月26日公表 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※「医療技術員」は理学療法士を含む複数職種の合算区分です。個別の給与・賞与の判断については、勤務先の給与規程および就業規則をご確認ください。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。