令和8年度診療報酬改定で、地域包括医療病棟入院料が一律の点数から6区分へ再編されました。注目したいのは点数より施設基準のほうです。ADLが低下した患者の割合が要件に置かれ、リハビリテーション部門がその数字の当事者になります。
点数の再編
改定前は一律3,050点でしたが、急性期病棟の併設有無で2類型に分かれ、それぞれ3区分になりました。
| 区分 | 入院料1(併設なし) | 入院料2(併設あり) |
|---|---|---|
| 緊急入院・手術なし | 3,367点 | 3,316点 |
| その他 | 3,267点 | 3,216点 |
| 予定入院・手術あり | 3,117点 | 3,066点 |
要件のほうが本体
- 重症度、医療・看護必要度を「A2点以上またはC1点以上」に簡素化
- 平均在院日数は原則20日(85歳以上の割合に応じ最大23日まで弾力化)
- ADL低下患者割合を5%未満から7%未満へ(85歳以上が2割未満の場合は5%)
あわせて、この病棟にはリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算に相当する評価が新設され、加算1が110点、加算2が50点とされています。
個人の稼働ではなく病棟の指標
ADL低下患者割合は、単位数のように個人ごとに積み上がる数字ではありません。入院してから退院するまでのあいだに、その病棟でADLが下がった患者が何割いたか、という病棟単位の結果です。
ここに効くのは、離床のタイミング、看護との情報共有、栄養状態、口腔、そして退院支援の設計です。リハビリテーション部門だけでは動かず、逆にリハビリテーション部門が関与しなければ動きません。
同じ改定では、急性期一般入院料4等を対象に看護・多職種協働加算(加算1が277点、加算2が255点)が新設され、要件に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・臨床検査技師の協働が置かれました。理学療法士が病棟の施設基準の構成要素として書かれる流れが、複数の病棟種別で同時に進んでいます。
病棟で働く理学療法士への影響
ここで起きているのは、評価される単位が個人の稼働量から病棟のアウトカムへ移るということだと考えています。単位数は誰が何単位取ったかで分解できますが、ADL低下患者割合は分解できません。分解できない指標を持つ部署では、成果の説明の仕方が変わります。
管理職やその手前の立場にいる方に確認しておいていただきたいのは2点です。自施設のADL低下患者割合が現在いくつか、そしてその数字を誰が集計しているか。この2つを言えるリハビリテーション部門は多くありません。集計を看護部門や医事課だけが持っている状態だと、改善の議論に入れません。
そのうえで、この指標は多職種と一緒でなければ動かせないという性質があります。栄養と口腔が要件に組み込まれた以上、管理栄養士や歯科と協働できることが、そのまま部門の実績に効いてきます。臨床技術とは別の、調整の力が数字になる場面です。
出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 4.包括期・慢性期入院医療」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 3.急性期・高度急性期入院医療」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※施設基準および届出の詳細は、告示・通知の原文と所属施設の届出状況をご確認ください。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。