理学療法士が取得する学会認定資格の代表格が、3学会合同呼吸療法認定士と心臓リハビリテーション指導士です。どちらも保有者に占めるPTの比率が高い資格ですが、診療報酬の施設基準を読むと、資格名そのものは登場しません。費用と要件、そして制度上の位置づけを分けて整理します。
3学会合同呼吸療法認定士
2026年2月27日現在の累計認定者数は49,199名。職種別では看護師20,369名(41.4%)に次いで理学療法士が19,337名(39.3%)を占めます。第30回(2025年)は受験者3,423名・合格者2,375名・合格率69.4%でした。
| 項目 | 内容(第31回・2026年) |
|---|---|
| 受講要件 | PT等は実務経験2年以上。加えて申請日から過去5年以内に認定委員会が認める学会・講習会で12.5点以上 |
| 講習会受講料 | eラーニングのみ 20,000円/会場+eラーニング 30,000円 |
| 受験料・登録料 | 認定試験10,000円(税込)+認定登録料3,000円 |
| 更新 | 5年ごと。総得点50点以上を取得し申請(更新手数料3,500円)。点数取得が困難な場合の更新用講習会は12,000円 |
心臓リハビリテーション指導士
第27回認定試験は受験者684名・合格者574名・合格率83.9%。うち理学療法士は受験484名・合格397名で、受験者の約7割を占めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 申請時に直近2年以上継続して学会員であること、心臓リハビリテーション指導の実地経験1年以上(または研修制度による受験資格認定)。当該年度の学会主催講習会の受講が必須 |
| 費用 | 審査料15,000円、資格更新料10,000円(講習会受講料は別途) |
| 学会年会費 | 一般(医師以外)8,000円。学会誌の紙媒体送付を希望しない場合6,000円 |
| 更新 | 5年ごと。5年間で50単位の研修単位と、最低1回の学術集会参加 |
受験の前提に「直近2年以上継続した学会員」が置かれているため、思い立ってその年に受けることはできません。年会費だけで最低12,000円から16,000円が先行します。
施設基準には資格名がない
心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)(Ⅱ)の施設基準届出様式(様式41)を確認すると、医師・看護師・理学療法士いずれについても「心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する」という記載にとどまり、「心臓リハビリテーション指導士」という資格名は記載されていません。人員要件は経験ベースで規定されています。
令和8年度診療報酬改定の概要資料(医学管理・リハビリテーション)にも、学会認定資格の名称は登場しません。診療報酬は資格名ではなく「経験」「専従・専任」で人員を規定する構造になっています。
資格取得を考える理学療法士への影響
この2つの資格については、「取れば算定できるようになる」という理解が広まりやすいのですが、施設基準の文言を読む限りそうはなっていません。診療報酬が求めているのは経験であり、資格名ではない。ここを取り違えると、投資の目的そのものがずれます。
では意味がないかというと、そうではありません。制度上の要件ではなくても、院内で誰が呼吸ケアや心大血管リハビリテーションの中心を担うかという配置の判断、採用時の評価、外部への説明の場面では機能しうる位置づけです。効くのは制度の側ではなく、組織と市場の側だと考えるほうが実態に近いと思います。
費用を見積もるときは、受験料と講習会費だけでなく、受験要件を満たすための学会費と点数集めの費用を含めてください。呼吸療法認定士なら12.5点の取得、心リハ指導士なら2年分の学会費と講習会。そして5年ごとの更新に50点または50単位が要ります。取得までの一括の出費より、5年周期で繰り返す時間と費用のほうが、判断材料としては重くなります。
出典
- 公益財団法人医療機器センター「3学会合同呼吸療法認定士」/第31回実施要領/認定更新 jaame.or.jp(2026年8月31日確認)
- 日本心臓リハビリテーション学会「心臓リハビリテーション指導士制度規則」「新規受験に必須の条件」「第27回認定試験講評」「入会案内」 jacr.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省 近畿厚生局「様式41 心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)(Ⅱ)」 kouseikyoku.mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※金額・要件は改定されることがあります。申込前に各団体の最新の案内をご確認ください。本記事は特定の資格の取得を推奨・非推奨するものではありません。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。