認定理学療法士を検討するとき、多くの人が調べるのは取得までの費用です。ただし日本理学療法士協会が公表している制度を並べると、金額の重心は取得時ではなく5年ごとの更新にあります。保有者の割合とあわせて、数字を整理しておきます。
いま何人が持っているのか
日本理学療法士協会の公表値(2026年3月31日時点)は次のとおりです。
| 人数 | 会員数に対する割合 | |
|---|---|---|
| 会員数 | 144,943名 | — |
| 認定理学療法士(実数) | 16,473名 | 約11% |
| 専門理学療法士(実数) | 1,855名 | 約1.3% |
その前段にある登録理学療法士は、2025年3月31日時点で63,638名、入会3年目以上の会員に対する取得率は63.4%です。登録理学療法士は多数派に近づきつつあり、認定はまだ1割強という分布になっています。
費用の全体像
協会が公表している金額を、段階ごとに並べます。
- 前期研修:eラーニングは無料。実地研修32コマ(48時間)も費用を徴収しない制度
- 後期研修:座学51コマ(76.5時間)。受講料は1コマ300円、セット価格2,000円のものあり。実地経験3年
- 登録理学療法士の更新:5年ごと。更新時研修はeラーニングで無料
- 認定理学療法士の新規申請:申請料は1分野につき10,000円(税別)。前提として指定研修カリキュラム(協会eラーニングで13,200円)と、教育機関ごとに設定される臨床認定カリキュラムの受講が必要
- 認定・専門の更新:5年ごと。申請料10,000円(税別)、更新時研修は分野ごとに5,500円。あわせて維持・研鑽のポイント100点と、学術雑誌への投稿や学会発表などの業績要件
臨床認定カリキュラムの受講料は教育機関が設定します。一例として、ある教育機関の地域理学療法分野は全20回で20,000円でした。同じ認定でも、どの機関で受講するかによって取得コストは変わります。
なお協会eラーニングの料金表は2024年4月2日版のため、現行の金額は申込時にご確認ください。
2027年4月に制度の見直しがある
協会は生涯学習制度の見直しを公表しています。2026年4月からは認定・専門の要件に学会連合会員団体主催学術大会での筆頭演者発表が加わり、論文査読が維持・研鑽の対象に新規追加されました。2027年4月には前期・後期研修および更新時研修の講義内容が見直され、登録理学療法士の更新猶予措置が「いずれかを満たす」から「両方を満たす」へ厳格化される予定です。
認定を維持する理学療法士への影響
資格の検討で見落とされやすいのは、取得費用ではなく5年ごとに繰り返し発生する維持コストのほうです。認定・専門は更新のたびに申請料と研修費に加えて、ポイント100点と業績要件が求められます。金額そのものは大きくありませんが、学会参加や投稿にかかる時間と費用は、5年分をまとめて見積もっておく必要があります。
先に整理しておきたいのは3点です。自分の登録理学療法士の更新年度がいつか、勤務先に研修費の補助や出張扱いの規程があるか、そして学会参加が勤務扱いになるかどうか。この3つで、同じ資格でも自己負担額は大きく変わります。
そのうえで、分野の選び方は「取りやすさ」だけで決めない方がよいと考えています。保有者数は分野によって数十倍の開きがあり、多い分野は情報や指導者が得やすい反面、持っていること自体は差になりにくい。どちらを取るかは目的次第で、どちらが正しいという話ではありません。
出典
- 日本理学療法士協会「各資格の取得状況」(2026年3月31日時点) japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
- 日本理学療法士協会「登録理学療法士 都道府県別取得者数」(2025年3月31日時点) japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
- 日本理学療法士協会「認定・専門理学療法士 新規申請マニュアル」/「更新申請マニュアル」/「後期研修について」/「eラーニング受講料一覧(2024年4月2日版)」 japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
- 日本理学療法士協会「生涯学習制度の見直しについて」 japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
※金額・要件は改定されることがあります。申込前に協会および各教育機関の最新の案内をご確認ください。本記事は特定の資格の取得を推奨・非推奨するものではありません。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。