病院以外で理学療法士が働く場として、訪問領域は最大の受け皿のひとつです。事業所数は増え続けており、2026年の骨太の方針には訪問リハビリテーションの充実が名指しで入りました。施設形態を考えるときの前提として、数字を押さえておきます。
事業所数の推移
日本訪問看護財団が厚生労働省の統計を整理した資料(2025年6月審査分が最新)によると、訪問看護ステーションの数は次のとおりです。
| 2001年 | 最新 | |
|---|---|---|
| 介護保険の訪問看護を行うステーション | 4,479か所 | 約16,035か所 |
| 医療保険の訪問看護を行うステーション | 3,702か所 | 約18,667か所 |
24年間でおよそ4〜5倍です。なお、この資料に理学療法士等による訪問件数の内訳はありません。
政策文書に訪問リハが入った
令和8年7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太の方針2026)に、「予防・医療・介護を通じた切れ目のないリハビリテーション」と明記され、注釈として「効果的な訪問リハビリテーションの充実を含む。」と記載されたと、日本理学療法士協会が伝えています。
※この記載内容は日本理学療法士協会のサイトで確認したものです。内閣府が公表する本文PDFからの直接確認はできていません。
ただし報酬の厚みは同じではない
令和8年度介護報酬改定で、訪問リハビリテーションが初めて介護職員等処遇改善加算の対象になりました。ここは前進です。一方で加算率は1.5〜1.8%の水準とされ、通所リハビリテーションの10%台とは桁が違います。
また、同じリハビリテーションの提供でも、訪問リハビリテーション事業所からの訪問と、訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問では、制度上の位置づけが異なります。求人票では同じ「訪問」に見えても、報酬の出どころが違います。
訪問領域を考える理学療法士への影響
訪問領域は、事業所数という点でも政策の方向という点でも、当面は広がる側にあると見てよさそうです。ただし「広がる」と「待遇が良い」は別で、処遇改善加算の加算率を見る限り、報酬の厚みは通所リハビリテーションのほうが上です。
訪問を検討するなら、求人を見る前に一つ確認しておきたいことがあります。その求人が、訪問リハビリテーション事業所なのか、訪問看護ステーションからのリハビリ職の訪問なのかです。制度上の枠組みが違うため、算定のルールも、処遇改善加算の加算率も、同僚の職種構成も変わります。求人票の「訪問リハ」という4文字だけでは判別できないことがあります。
そのうえで面談で聞いておきたいのは、1日の訪問件数の目安と移動時間の扱い、そして記録をどこで書くかの3点です。病院と違って移動が業務時間に入るため、同じ「1日6件」でもエリアの広さで疲労がまったく変わります。これは見学しても分かりにくく、聞くしかない部分です。
出典
- 公益財団法人日本訪問看護財団「訪問看護データ集」(出典:厚生労働省 医療費の動向調査・介護給付費等実態統計、2025年6月審査分) jvnf.or.jp(2026年8月31日確認)
- 公益社団法人日本理学療法士協会「骨太の方針2026」に関する掲載 japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定(処遇改善加算の拡充)」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※制度上の位置づけおよび加算の適用は、告示・通知の原文と各事業所の届出状況をご確認ください。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。