保険外リハビリテーションの市場規模を調べると、数字が出てきません。調査会社の推計も、公的統計も見つかりません。出てくるのは事業者自身の発信だけです。独立を考えるうえで、この「無い」という事実自体が判断材料になります。
探して見つからなかったもの
今回、次の情報を探しましたが、信頼できる出典に到達できませんでした。
- 保険外リハビリテーション/自費リハビリテーションの市場規模
- 全国の事業者数
- 料金相場(第三者による価格調査)
- パーソナルトレーニングジムの料金相場(同上)
検索で上位に出るのは、自費リハビリテーション運営会社のオウンドメディアと、集客目的の比較サイトです。矢野経済研究所や帝国データバンクがフィットネス市場については調査を出している一方で、自費リハビリテーションを対象にした調査は確認できませんでした。
事業者側の発信で分かること
個別の事業からは、いくつか具体的な事実が拾えます。
HabiFillは2026年6月10日、理学療法士による出張自費リハビリ・シニアトレーニングサービスを同年6月より開始すると発表しました。対応エリアは東京都23区が中心。退院後のリハビリ希望者、歩行に不安がある人、転倒予防、脳卒中後の回復支援、パーソナル、施設入居中の高齢者などを対象とし、有資格の理学療法士が訪問して評価のうえ個別プログラムを設計するとしています。料金はリリースに記載がありません。
MEDIROMは2026年1月8日、自費リハビリ「脳梗塞リハビリセンター」のフランチャイズ個別相談会を2026年1〜3月に全30回実施すると発表しました。対象として「独立をご検討中の理学療法士・作業療法士」を明記しています。出店エリアは10都府県。相談会では収益モデルと投資回収シミュレーションを説明予定とされていますが、初期費用・ロイヤリティ・店舗数はいずれも非開示です。
数字が出てこない領域の特徴
市場統計がないのは、必ずしも市場が小さいことを意味しません。定義が定まらない(保険外の運動指導との線引きが曖昧)、事業者が小規模で分散している、業界団体が存在しない、といった理由でも統計は作られません。
ただし、判断する側から見ると意味は同じです。比較する基準が外部に存在しないということになります。
自費リハを検討する理学療法士への影響
「自費リハの市場は伸びている」という話は広く語られていますが、それを裏づける第三者の統計は、探した範囲では見つかりませんでした。伸びていないという意味ではありません。確かめる手段がないという意味です。
ここで見落とされやすいのは、独立を勧める側と情報を出す側が同じである、という構図です。フランチャイズの相談会が理学療法士を名指しで募集していながら、初期費用も店舗数も非開示のまま説明会だけが先行している。この状態で提示される収益シミュレーションは、比較対象を持たない相手に向けたものになります。
説明を聞く場面があるなら、先に自分の側で聞く項目を決めておくことをおすすめします。開業した店舗の総数と、現在稼働している店舗の数。開業から1年以内に閉店した店舗の数。ロイヤリティの算定基準。この3つは、答えられるかどうかも含めて情報になります。数字が外に無い領域では、相手に数字を出させるところから始まります。
出典
- HabiFill株式会社「理学療法士による出張自費リハビリ・シニアトレーニングサービス開始」(2026年6月10日) prtimes.jp(2026年8月31日確認)
- 株式会社MEDIROM「脳梗塞リハビリセンター フランチャイズ個別相談会」(2026年1月8日) medirom.co.jp(2026年8月31日確認)
- 市場規模・事業者数・料金相場については、調査会社および公的機関による統計を確認できませんでした(2026年8月31日時点)
※本記事は特定の事業者・フランチャイズを推奨または非推奨するものではありません。事業判断は、ご自身で一次情報を確認のうえ行ってください。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。