独立や副業を検討している人にとって、2026年の秋から冬は制度の変わり目です。インボイスの経過措置が10月に一段下がり、iDeCoの拠出限度額が12月に引き上げられます。使える制度の全体像を、金額とともに整理します。
10月:インボイスの控除割合が80%から70%へ
免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額控除の割合が段階的に下がっていきます。
| 期間 | 控除割合 |
|---|---|
| 令和8年10月〜令和10年9月 | 70% |
| 令和10年10月〜令和12年9月 | 50% |
| 令和12年10月〜令和13年9月 | 30% |
| 令和13年10月以降 | 控除不可 |
あわせて、いわゆる2割特例は令和8年9月30日が属する課税期間までとされ、後継として3割特例(個人事業者のみ、令和9年分・令和10年分について納付税額を売上税額の3割とできる)が創設されています。
セミナー講師や執筆など、法人を相手に業務委託で仕事を受ける場合、この控除割合は取引先側の負担に関わります。
12月:iDeCoの拠出限度額が上がる
| 区分 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者(自営業者等) | 月68,000円 | 月75,000円 |
| 企業年金がない会社員 | 月23,000円 | 月62,000円 |
加入可能年齢も60歳未満から70歳になるまでに拡大されます(令和8年12月施行)。企業年金がある会社員の限度額については、資料によって記載が分かれていたため、本記事では扱いません。
常設の2つ
小規模企業共済は、掛金が月1,000円〜70,000円(500円刻み)で、全額が所得控除の対象です。加入資格は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主および会社役員等とされています。
青色申告特別控除は3段階です。65万円は、55万円の要件に加えて電子帳簿保存またはe-Taxによる提出。55万円は、複式簿記で記帳し貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に提出。10万円はそれ以外です。
独立を考える理学療法士への影響
制度は「知ってから使う」までに時間がかかります。青色申告は事前の届出が要り、小規模企業共済は掛金の積み上げに年数が要り、iDeCoは受け取りまでの期間が長い。どれも、独立してから調べ始めると初年度を取り逃がす種類のものです。
まず整理しておきたいのは、自分がどの区分に当たるかです。給与所得だけなのか、事業所得があるのか、法人なのか。この区分が決まらないと、上のどれが使えるかも決まりません。副業を業務委託で受けているなら、すでに事業所得の話が始まっている可能性があります。
そのうえで、10月と12月という日付だけは押さえておくことをおすすめします。制度の変わり目に合わせて動くと、同じ準備でも1年分の差がつくことがあります。ただし有利不利は個別の事情で変わるため、実際の判断は税理士にご相談ください。ここで扱えるのは、箱がどこにあるかまでです。
出典
- 国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度)」 nta.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「iDeCo制度改正」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 中小企業庁「小規模企業共済」 chusho.meti.go.jp(2026年8月31日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」 nta.go.jp(2026年8月31日確認)
※本記事は一般的な制度の説明です。適用の可否および有利不利は個別の事情によります。個別の税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。
この記事を書いた人
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向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。