令和8年度診療報酬改定には、目立たないものの働き方に直結する変更が入りました。保険医療機関の外で行うリハビリテーションを、疾患別リハビリテーションとみなせる単位数の拡大です。あわせて、単位数上限の緩和対象も起算日が明確化されました。
医療機関外リハの取扱い
改定前は「1日に3単位に限り」とされていた保険医療機関外での疾患別リハビリテーションが、改定後は次のように変わりました。
一連の入院期間において合計3単位(特掲診療料の施設基準等別表第九の三に掲げる患者については6単位)に限り、別に疾患別リハビリテーションとみなすことができる
「1日あたり」から「一連の入院期間で合計」へ、考え方の単位が変わっています。対象患者によっては6単位まで認められます。
上限緩和の起算日が明確になった
1日9単位までの算定単位数上限の緩和について、対象患者が「脳血管疾患等の患者のうち発症日、手術日又は急性増悪の日から六十日以内のもの」と規定されました。
これまで運用の解釈に幅があった部分に線が引かれた形です。発症から60日を過ぎた患者への濃厚なリハビリテーションは、算定上は不利になります。
2つを並べると見えるもの
同じ改定では、ベッド上から移動せずに他動的な訓練のみを行う入院患者の疾患別リハビリテーション料が所定点数の90%かつ1日2単位までに制限され、早期リハビリテーション加算は入院初日から3日目までが手厚くなりました。
並べると方向は一貫しています。早期に、離床して、生活場面に近いところで介入することを評価するという設計です。医療機関外リハの拡大は、この線の延長にあります。退院前訪問、屋外歩行、実際の住環境での動作確認といった介入が、算定の裏づけを持ちやすくなりました。
現場の理学療法士への影響
この変更は点数表の細部に見えますが、実際には「リハビリ室で完結しない介入」を制度が後押しする方向を示しています。急性期や回復期にいながら、生活期を見据えた評価をする機会が制度上増えるということです。
先に確認しておきたいのは、自施設で医療機関外のリハビリテーションを実施する手順が定まっているかどうかです。誰が同行するのか、移動の時間はどう扱うのか、記録に何を残すのか、事故時の対応はどうなっているのか。実施できる制度になっていても、手順がなければ現場では動きません。
そのうえで、住環境と移動手段を評価できることは、施設形態を越えて持ち運べる技能です。段差、手すりの位置、家族の介助力、通院の手段。これらを見て言語化できる人は、急性期でも訪問でも通所でも必要とされます。単位数は職場が変われば数え直しになりますが、この視点は目減りしません。
出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
※算定要件の詳細は、告示・通知の原文および所属施設の届出状況をご確認ください。
この記事を書いた人
-
向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。