協会が13省庁に要望を出した 職域はどこへ広げようとしているか

協会が13省庁に要望を出した 職域はどこへ広げようとしているか

日本理学療法士協会が2026年7月から8月にかけて、13の省庁へ令和9年度予算に向けた要望書を提出しました。提出先の顔ぶれを見ると、この職種の職域をどこへ広げようとしているのかが読み取れます。

提出先の13省庁

厚生労働省、文部科学省、スポーツ庁、こども家庭庁、国土交通省、観光庁、経済産業省、外務省、農林水産省、法務省、内閣府(消費者庁)、内閣官房、総務省。

医療・介護の所管である厚生労働省だけでなく、教育、子ども、まちづくり、観光、産業、司法にまで及んでいます。

主な要望内容

提出先 要望の柱
厚生労働省 賃上げ等による医療・介護・福祉における理学療法士の人材確保/卒前・卒後教育の充実
文部科学省 学校保健および特別支援教育への理学療法士の関与充実/養成教育の適正化推進
こども家庭庁 リハビリテーション専門職の配置

あわせて読みたい動き

令和8年7月21日に閣議決定された骨太の方針2026には、「予防・医療・介護を通じた切れ目のないリハビリテーション」と明記され、注釈に「効果的な訪問リハビリテーションの充実を含む。」と記載されたと協会が伝えています(内閣府の本文PDFからの直接確認はできていません)。

供給側では、養成校の入学定員充足率が87.8%(令和7年4月1日時点)まで下がり、厚生労働省は2026年5月に「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」を立ち上げています。会員数は2026年3月末で144,943名です。

職域の広がりと現場理学療法士への影響

要望書は、そのまま予算になるわけでも制度になるわけでもありません。ただし、職能団体がどこに働きかけているかは、数年後に制度上の裏づけができる可能性のある領域を示しています。学校保健、特別支援教育、こども領域、スポーツ、観光。いずれも現時点で理学療法士の配置が制度化されている領域ではありません。

ここで問いを立て直すと、見え方が変わります。「病院の外に出られるか」ではなく、「制度の裏づけが後からついてくる領域に、先に足場を作れるか」です。配置が制度化されてから動く人は多く、その時点では経験者が優位になります。

いますぐできることとしては、自分の勤務先や地域で、これらの領域と接点がある業務を洗い出してみることをおすすめします。特別支援学校への訪問、地域の介護予防事業、学校での運動指導、乳幼児健診への関与。すでに関わっているのに「本業ではない」と整理してしまっている経験が、数年後に説明できる実績になることがあります。

出典

  • 公益社団法人日本理学療法士協会「令和9年度予算概算要求に向けた要望書の提出」 japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
  • 公益社団法人日本理学療法士協会「骨太の方針2026」に関する掲載 japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)
  • 厚生労働省「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」第1回資料3 mhlw.go.jp(2026年8月31日確認)
  • 公益社団法人日本理学療法士協会「統計情報」 japanpt.or.jp(2026年8月31日確認)

※要望書の提出は予算措置や制度化を約束するものではありません。

この記事を書いた人

  • 向井タカトシ

    向井タカトシ
    理学療法士 / パーソナルジム経営者

    理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。

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