労働者50人未満の事業場に対するストレスチェックが、努力義務から法的義務へ変わります。施行は2028年4月1日。小規模な職場に外部の健康支援が入る制度的な入口ができる変化で、産業保健の領域に関心のある理学療法士には節目になります。
改正の内容
改正労働安全衛生法は2025年5月8日に成立しました。労働者数50人未満の事業場について、現行では努力義務とされているストレスチェックの実施が、法的義務に変わります。施行日は2028年4月1日で、約2年間の周知・準備期間が設けられています。
50人未満の事業場には産業医の選任義務がなく、健康管理の体制が整っていないところが多いため、外部機関の活用が想定されるとされています。
※本節の内容は産業保健事業者の運営メディアにもとづきます。厚生労働省の公式資料および官報での直接確認はできていません。実務対応にあたっては厚生労働省の発表をご確認ください。
なぜ理学療法士の話になるのか
ストレスチェックそのものの実施者は、医師・保健師などが担います。理学療法士がその役割に入るわけではありません。
効いてくるのはその後です。ストレスチェックを実施すると、集団分析の結果として職場環境の課題が出てきます。長時間の同一姿勢、重量物の取り扱い、休憩の取りにくさ。そこから運動習慣の支援、腰痛・肩こり対策、作業姿勢の改善といった施策につながる場合があります。
健康経営の領域では、すでに中小規模法人の申請が23,485法人(2025年11月4日時点の速報値、前年度比15.9%増)まで増えています。小規模事業場に外部の支援が入る流れは、制度の側からも市場の側からも同じ方向を向いています。
小規模事業所で働く理学療法士への影響
2028年4月という日付は、いま動く理由にはなりません。ただし、産業保健の領域を選択肢として考えている方にとっては、準備に使える2年半があるという読み方ができます。制度が動いてから参入する人が多い領域では、その前に実績を持っている人が優位になります。
ここで整理しておきたいのは、自分が提供するものを「実施者」ではなく何として定義するかです。ストレスチェックの実施者にはなれませんが、集団分析の結果を受けて職場環境や身体の課題に対する打ち手を設計する立場はあり得ます。腰痛と転倒の評価は、病院の外でも通じる数少ない共通言語です。
いますぐできることとしては、自分の勤務先に産業医や衛生委員会があるか、そこでどんな議題が扱われているかを見てみることをおすすめします。医療機関自体も事業場であり、そこでの経験は外に出るときの説明材料になります。関わり方を知らないまま外部に売り込むより、内側から一度見ておくほうが早いと思います。
出典
- 改正労働安全衛生法(2025年5月8日成立)に関する産業保健事業者の解説 sanpomichi-dt.jp(2026年8月31日確認)。※厚生労働省の公式資料は未確認
- ACTION!健康経営ポータルサイト(健康経営優良法人2026 申請数の速報値) kenko-keiei.jp(2026年8月31日確認)
※施行日・対象範囲は今後の政省令によります。厚生労働省の公式発表をご確認ください。
この記事を書いた人
-
向井タカトシ
理学療法士 / パーソナルジム経営者理学療法士としての臨床経験を経てパーソナルジムを経営。理学療法士のキャリア形成を当事者の目線で発信している。