UPDATED 2025.06.20

《LINE診断》理学療法士のキャリア8選|転職・副業・起業・他業界まで徹底ガイド

【監修】向井 崇敏(理学療法士/PT Career運営/B.E.Tパーソナルジム代表)

理学療法士キャリア形成には大きく分けて4つのタイプと、代表的な8つの選択肢があります。

このページでは、そんな理学療法士キャリア形成4つのタイプと理学療法士キャリア8つの選択肢を徹底的にご紹介します。

LINEで1分程度で簡単に診断できるコンテンツもありますので、ぜひ一度試してみてください。

理学療法士キャリアも多様化の時代

かつては「病院勤務で長く働くこと」がスタンダードとされてきた理学療法士のキャリア。
しかし、近年は働き方の多様化、副業解禁、情報発信の広がりなどにより、自分らしいキャリアを選ぶ時代に変わりつつあります。

また、働き方の選択肢が広がったことにより、自分自身が将来どうなりたいのかという目標や将来像を設定することが大切になりました。

そこで、自分自身の将来像を少しずつ明確にしていくためには、周囲の理学療法士のキャリアモデルなどの情報収集をして、まずは「知ること」がおすすめです。

理学療法士こそ考えるべき「資産形成」

理学療法士が将来のキャリア像を設計するときに、意識するべき視点の一つとして「資産形成」が挙げられます。

人生100年時代を迎え、働き方やお金の考え方にも大きな転換期が訪れています。理学療法士として医療現場で働く私たちも例外ではなく、「いつまで働けるか」「老後にいくら必要か」という問いに向き合う必要があります。

理学療法士は国家資格を持ち、社会的な信頼も高い職種ですが、その一方で収入が大きく伸びにくいという構造的な課題があります。そうした状況の中で、老後資金をただ「なんとかなる」と放置しておくのではなく、「資産形成」というキーワードを念頭に置いた上でキャリア選択することも非常に需要です。

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理学療法士のキャリア8選

現代の理学療法士における4つのキャリア形成と主要な8つのキャリアルートをご紹介します。
当メディアでは、PT専門性と安定・自由志向の2軸で【安定・堅実タイプ】【専門スキル応用タイプ】【業界チェンジ安定タイプ】【自由クリエイトタイプ】の4つのグループに分類して、①臨床キャリア、②教育・研究職、③副業・院外活動、④独立・フリーランス、⑤海外・国際展開、⑥他業種転向、⑦キャリア支援、⑧異業種での起業の8つのキャリア展開をそれぞれご紹介します。

理学療法士キャリア形成の具体的な4ステップ(悩む・選ぶ・極める・届ける)についてはこちらで解説しています。

【安心・堅実タイプ】専門性×安定志向

🔗理学療法士キャリア形成の具体的な4ステップ(悩む・選ぶ・極める・届ける)についてはこちらで解説しています。

「安心・堅実タイプ」は、急激な変化やリスクを取るよりも、今ある環境で着実に力を積み重ねていくことに価値を感じる人に多く見られる傾向です。理学療法士という国家資格を活かしながら、安定した収入や職場環境、日々のやりがいを大切にする人に向いています。

特に病院・施設・クリニックなどの常勤職は、給与体系や福利厚生が整っており、長期的な働き方を計画しやすい特徴があります。加えて、訪問リハや通所リハなどの地域密着型の職場でも、地域に根ざしながら信頼関係を築くことに充実感を感じやすいタイプです。

このタイプの人は、資格取得や認定研修などで専門性をじっくり深めながら、職場内での役割を広げていくことで、昇給や昇格といったステップアップも視野に入れやすいでしょう。たとえば「認定理学療法士」「地域ケア会議のメンバー」「教育担当」など、現場に根ざしつつも責任ある立場でキャリアを築くことが可能です。

また、将来的なライフイベント(結婚、出産、介護など)との両立も考慮しやすいため、長く働きたい・続けたいと考える人にとっても、非常に相性の良いキャリアタイプといえます。

「大きくは変えたくないけれど、自分なりに成長したい」そんな想いを抱くあなたには、この「安心・堅実」なスタンスが、確かな安心感とやりがいをもたらしてくれるはずです。

①臨床キャリア|施設内でのキャリア展開

「臨床キャリア」とは、理学療法士として臨床現場に軸足を置きながら、自身の専門性や強みを磨き続けていくキャリアのあり方です。

例えば、同じ分野・同じ職場にとどまりながらも、担当する対象者の幅が広がることで評価・介入の引き出しが増えたり、後輩や学生の指導を通じて教育的視点が育ったりと、臨床の中にも多様な成長のチャンスがあります。あるいは特定の疾患や領域(スポーツ、小児、訪問、緩和ケアなど)に特化して専門性を高め、院内外でその知見を活かすケースもあります。

「キャリア=転職や独立」と捉えがちですが、現場にとどまり、目の前の患者や利用者と向き合い続けることで得られる学びや充実感は、他のどのキャリアパスとも違う深さを持ちます。特に中堅期以降の理学療法士にとっては、「継続」の中にこそ、確かな成長や信頼の積み重ねがあり、やがてはチームリーダーや教育係、外部講師、地域のキーパーソンといった新たな役割へと広がる可能性を秘めています。

「今の現場で、このまま続けていいのだろうか?」と悩む時期は誰しもあるものですが、転職せずとも視点を変えることで、臨床の中にキャリアの広がりを見出すことができます。臨床キャリアは、現場に根ざしながらも、自分らしい働き方や成長の形を柔軟に描ける選択肢のひとつです。

向いている人:
現場での直接的な関わりにやりがいを感じる人
今の職場で経験を積み重ねながら、専門性を育てたい人
・職場内での役割や立場を広げていきたい人

メリット:
長期的にスキルと信頼を蓄積しやすい
対象者の回復や生活改善にじっくり向き合える
組織内でのキャリア形成(昇格・教育係など)も可能

アドバイス:
臨床の現場で働いていると、「自分だけ成長していないのでは?」「周りは転職や副業を始めているのに…」と、不安になることもあるかもしれません。けれど、今の場所で経験を積み重ねていくことも、立派なキャリアの一歩です。

大切なのは、環境を変えることではなく、「この環境の中で、自分はどう成長できるか?」という視点を持つこと。日々の業務の中にも、スキルアップのきっかけや、人とのつながり、新たな役割への挑戦が隠れています。

今の現場で見えていない伸びしろに気づけたとき、きっとあなたの臨床キャリアは、静かに、でも確かに動き出しています。焦らず、自分のペースで歩んでいきましょう。

② 教育・研究職|知識を未来につなぐ

「教育・研究職」は、臨床で培ってきた知識や経験を次世代へと伝えたり、理学療法学の発展に貢献したりするキャリアの道です。大学や専門学校の教員、研究機関のリサーチャー、大学院での研究活動などが代表的な進路として挙げられます。

臨床の現場で得た「経験」を教育という形で未来の療法士へ継承する役割は、非常にやりがいがあります。学生の成長を間近で感じられる瞬間や、「先生のおかげで理学療法士になれました」と感謝される言葉は、臨床とはまた違った充実感を与えてくれます。

また研究職では、リハビリテーション医学や運動療法、社会制度との接点など、理学療法の知識体系を深めるための探求が求められます。研究成果が学会や論文を通じて社会に還元されることで、間接的に多くの人の健康を支えるという貢献性の高いキャリアでもあります。

一般的に、教育職や研究職は大学院での学位取得や論文業績、学会発表などの実績が求められるため、準備には一定の時間と労力が必要です。ただし、非常勤講師やティーチングアシスタント、臨床教育指導者など、段階的に関わることもできるため、臨床との両立も可能です。

「教育や研究には遠い世界の話だと思っていたけど、少しずつ関わってみたら面白くなった」と語る人も少なくありません。自分の経験や興味を伝える力」や「問いを立てる力」に変えながら、知の循環に携わるキャリア。それが教育・研究職の魅力です。

向いている人:
・教えることにやりがいを感じる
・論理的な思考や探究心がある
・学術活動や研究にも興味がある

メリット:
・社会的信用が高く、安定した職場が多い
・知識を深め続けられる環境がある
・次世代の育成というやりがいがある

アドバイス:
「教えるなんて自分にはまだ早い」「研究なんて難しそう」一見そんなふうに思思いがちですが、教育や研究の世界は、「完璧な知識を持つ人」だけの場所ではありません。

大切なのは、「これまでの臨床経験から、どんなことを伝えられるか」「どんな疑問を持ち、どんな課題を深掘りしたいか」という視点です。たとえば、現場で感じた違和感や工夫の積み重ねが、学生にとっては貴重な現場の声」となり、研究のヒントにもなります。

最初は非常勤講師や臨床実習指導からでも構いません。一歩踏み出せば、あなたの知識や経験は、確実に誰かの成長につながります。教えることは、自分の理解を深めること。問いを立てることは、未来の医療をつくること。教育・研究の道は、決して遠い世界ではなく、現場に根ざしたあなたの延長線上にあります。

【専門スキル応用タイプ】専門性×自由志向

🔗理学療法士キャリア形成の具体的な4ステップ(悩む・選ぶ・極める・届ける)についてはこちらで解説しています。

「専門スキル応用タイプ」は、理学療法士として培った知識や技術をベースにしながらも、より自由度の高い働き方やキャリアの形を求める人にぴったりのスタイルです。「一つの職場に縛られたくない」「自分の専門性をもっと幅広く活かしたい」「働き方そのものを自分で選びたい」といった意識が強い傾向があります。

たとえば、パーソナルトレーナーとして独立したり、複数の施設を掛け持ちしたり、専門資格を活かして講師活動や執筆業を行うといった、多様なキャリア展開がこのタイプにはよく見られます。リハビリテーションの枠にとどまらず、ヘルスケア、スポーツ、予防医療、美容、福祉といった他分野とも親和性が高く、自らの軸を持ちながら柔軟に展開できるのが特徴です。

このタイプに共通しているのは、「理学療法士としての専門性を手放すのではなく、拡張していく」という姿勢です。臨床経験をベースにしながらも、集客・発信・マネジメントなどのビジネススキルや、コーチング・栄養学・美容などの周辺知識を組み合わせることで、“自分にしかできない価値”を築いていくキャリアとも言えます。

「安定」よりも「柔軟さ」や「裁量の大きさ」に魅力を感じる人にとっては、専門スキルを武器に自由な働き方を選べるこのタイプが、最もストレスが少なく、かつモチベーション高く続けられるキャリアの形かもしれません。

③ 副業・院外活動|まずは小さく始める

「副業・院外活動」は、今の仕事を続けながら、勤務時間外や休日などを活用して自分の可能性を広げる選択肢です。いきなり職場を辞める必要も、大きなリスクを取る必要もなく、まずは自分にできることから小さく試していけるのが特徴です。

活動の内容は人によって様々で、たとえば「パーソナルトレーナーとして週末だけ活動する」「健康セミナーや講座の講師を務める」「専門ブログやSNSで発信して収益化する」「他職種の勉強会を主催する」など、特技や関心を活かした形が取られています。最近では、オンライン指導・動画販売・リハビリ教材の作成など、デジタルツールを使った副業も増えています。

理学療法士としての専門知識や経験は、実は想像以上に価値ある「資産」です。これを院外で活用することで、職場の外にも自分を必要としてくれる人がいることに気づいたり、将来の選択肢が広がったりと、キャリアに新しい視点が加わります。

副業という言葉に抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、「職場に依存しすぎない生き方をつくる」「将来の備えとして複数の収入源を持つ」という考え方は、これからの時代においてますます重要になってきます。

大切なのは、いきなり完璧を目指すのではなく、まずは一歩を踏み出すこと。失敗しても失うものが少ないからこそ、気軽に挑戦できるのが副業・院外活動の強みです。

向いている人:
・病院勤務を続けつつ、新しい挑戦をしたい
・自分の専門知識を広く届けたい
・スキルや強みを活かして収入を増やしたい

メリット:
・小さく始められてリスクが低い
・副収入の確保ができる
・新たな強みや人脈が広がる可能性がある

アドバイス:

「本業だけで手一杯なのに、副業なんて無理かも…」と感じている方も多いかもしれません。けれど、副業や院外活動は自分にしかできないことを見つけたり、可能性を広げたりするための実験の場でもあります。

最初から収入を得ようとしなくても構いません。たとえば、SNSでの情報発信や、友人へのトレーニングアドバイス、小さな勉強会の主催など、「誰かの役に立てた」と思える体験が最初の一歩になります。

院外で得た経験は、不思議と本業にも良い影響を与えてくれます。伝え方がうまくなったり、新しい視点で患者さんを見られるようになったりと、想像以上に学びが深まることもあるでしょう。

小さく始めて、少しずつ広げていく。それだけでも、キャリアの地平は確実に広がっていきます。「自分にできること」を気軽に試せる副業は、未来のキャリアづくりにおいて、最も身近で現実的な第一歩です。

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④ 独立・フリーランス|自由と責任を手にする

「独立・フリーランス」は、理学療法士としての知識やスキルを土台にしながら、自らの力で仕事を創り出すキャリアスタイルです。
たとえば、パーソナルジムを開業したり、訪問リハビリを個人で受託したり、フリーランスとして複数施設と契約して活動するなど、働き方やサービス内容は非常に多様です。

このキャリアの大きな特徴は「自由」と「裁量」です。勤務時間や働く場所、サービスの提供方法、価格設定まで自分で決めることができるため、理想のライフスタイルや働き方を実現しやすくなります。また、努力や工夫がそのまま成果に直結する実感を得やすく、モチベーション高く働き続けられる人も多いです。

一方で、収入が安定しにくい時期や、自分で集客や経営判断を行う難しさ、責任の重さなども伴います。独立は「自由」と引き換えに「すべて自分の責任で動く覚悟」を必要とする道でもあります。

ただし、近年はSNSやWebツールの普及により、個人でも集客・発信・ブランディングがしやすくなっており、低リスクで小さく始めることも可能になってきました。「まずは副業で試してから」「業務委託で徐々に展開する」など、段階的な独立の形も現実的です。

自分の強みやこだわりを活かしながら、誰かに雇われるのではなく自分の看板で生きる」という選択肢は、リハビリ職の新しい可能性を広げるチャレンジです。

向いている人:
・自分のビジョンを持ち、自立して働きたい
・自分の価値を自分で決めたい
・自分のやりたいサービスを形にしたい

メリット:
・収入も働き方も自由に設計できる
・強みを最大限活かせる環境を自分で作れる
・働きがいが大きい

アドバイス:
独立やフリーランスと聞くと、「起業って難しそう」「経営の知識がないから無理」と感じてしまうかもしれません。けれど実際は、最初からすべてを完璧にする必要はありません。むしろ、うまくいかない前提で小さく始めて、試行錯誤しながら形にしていくものです。

大切なのは、“何をしたいか”ではなく、“誰の役に立ちたいか”という視点。特定の対象やニーズにしっかりと向き合うことで、自分だけの強みやサービスが自然と磨かれていきます。

また、独立前には「誰に(WHO)」「どんな価値を(WHAT)」「どのようなスタイルで(HOW)」届けるのかといったコンセプトを明確にしておくことがおすすめです。マーケティング戦略やおすすめの業種について、詳しくは以下の記事で紹介しています。

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⑤ 海外・国際展開|グローバルなPTを目指す

「海外・国際展開」は、理学療法士としての専門性をベースに、日本国内だけでなく世界を舞台に活躍の場を広げるキャリアパスです。働く場所は、海外の病院・クリニック・スポーツ現場・福祉施設・国際NGO・教育機関など多岐にわたり、活動のスタイルも就職からボランティア、短期派遣、起業までさまざまです。

目的も多様で、「国際資格を取得して現地で働きたい」「発展途上国で医療支援をしたい」「語学力を活かして外資系の医療企業で働きたい」など、理学療法士としての専門性を軸にしながら、グローバルな視点でキャリアを築くことができます。

近年では、アジア圏や中東、欧州、北米をはじめ、理学療法士の国際需要は徐々に広がっており、日本での経験が高く評価されるケースも増えています。また、国際学会への参加や、海外の教育機関での研修・留学も、将来的な海外展開の足がかりとなります。

一方で、国ごとの資格制度や就労ビザ、語学力、文化・医療制度の違いといったハードルも存在します。しかしそれらを乗り越えた先には、異なる価値観や多様なリハビリアプローチに触れることで得られる、かけがえのない成長と視野の広がりが待っています。

海外で働くことは、単なる場所の移動ではなく、自分の視点をグローバルに拡張すること。自分の専門性を世界のどこで、誰のために、どう活かしたいか──その問いに向き合う旅が、国際展開というキャリアの始まりです。

向いている人:
・英語力や語学学習に抵抗がない
・異文化に興味があり、適応力がある
・日本以外の医療事情に触れてみたい

メリット:
・視野が広がり、価値観が変わる
・海外PT資格取得でキャリアの選択肢が増える
・国際的なネットワークが広がる

アドバイス:
「いつか海外で働いてみたい」「世界で通用する理学療法士になりたい」そんな想いを持っていても、今すぐすべてを変える必要はありません。大切なのは、小さくても海外に向かう意識を持って動き始めることです。

たとえば、英語でのリハビリ用語を少しずつ覚える、海外の論文や学会に目を通す、国際的なセミナーに参加してみる、SNSで海外のPTとつながってみるこうした行動の積み重ねが、やがて大きなチャンスを引き寄せてくれます。

また、近年ではオンラインでの国際交流や、リモートでの指導・講義なども活発になっており、日本にいながらにして海外と関わる機会も増えています。「自分はまだ準備が足りない」と感じていても、完璧である必要はありません。未完成でも、挑戦したい気持ちこそが最大の原動力です。

世界は広く、そしてつながっています。あなたの専門性が、国や言葉を超えて誰かの役に立つ日が、きっと来るはずです。

【業界チェンジ安定タイプ】汎用性×安定志向

🔗理学療法士キャリア形成の具体的な4ステップ(悩む・選ぶ・極める・届ける)についてはこちらで解説しています。

「業界チェンジ安定タイプ」は、理学療法士としての臨床経験やコミュニケーション力を活かしながらも、より安定した働き方や将来性を求めて、異業種・異分野への転職を視野に入れるキャリアスタイルです。ただし、起業やフリーランスのような不確実性の高い道ではなく、企業や行政、教育機関など、比較的安定した雇用形態を求める傾向があります。

たとえば、医療系IT企業のカスタマーサポート職や、医療・福祉人材のキャリアアドバイザー、福祉用具営業健康経営を支援する法人向けコンサルタント、公務員(保健分野・障害福祉分野)などが進路として挙げられます。いずれも「人の健康や生活を支える」という理学療法士の本質的な志向を活かしつつ、現場とは異なる視点や手段で社会貢献ができる職種です。

このタイプの強みは、現場でのリアルな課題感や、対人支援における高いコミュニケーション力、身体や健康に関する専門的な知識です。これらは、異業種においても大きな価値ある武器となり、再現性・応用力を発揮できます。

一方で、業界が変わることへの不安や、「せっかく取った国家資格を手放していいのか?」という葛藤もあるかもしれません。しかし、「資格を使わなくなる」ことと、「活かせない」ことは全く別の話です。むしろ、これまでの経験を他分野で橋渡しすることで、社会に新たな価値を提供できる可能性があります。

医療・福祉の枠を超えながらも、自分らしく、そして安定的に働き続けたいそんな思いを持つ人にとって、「業界チェンジ安定タイプ」は、新しい自分に出会うための現実的で前向きな選択肢です。

⑥ 他業種への転向|理学療法士の枠を超える

「他業種への転向」は、理学療法士という国家資格に縛られず、自分の興味・価値観・ライフスタイルに合った働き方を実現するために、別の業界・職種にキャリアを切り替える選択肢です。

たとえば、医療・福祉業界から離れて、IT業界でエンジニアやカスタマーサクセスに挑戦したり、教育・人材・広告・メーカーなどの一般企業に転職したりするケースがこれに該当します。実際に、営業職・事務職・Webマーケター・動画クリエイターなど、異業種で活躍する元PTは少なくありません。

理学療法士のキャリアは「人に寄り添う力」「課題を見抜いて解決に導く力」「継続的な支援力」など、社会で広く通用する本質的な能力を育てる職業です。これらのスキルは業界を超えて応用可能であり、未経験OK」の求人に応募する際にも、強みとして十分に活かすことができます。

一方で、「ゼロからの再スタート」になる不安や、「今までの努力が無駄になるのでは」と感じることもあるでしょう。しかし、経験が完全にリセットされるわけではありません。むしろ、理学療法士としての背景を持つ人材だからこそ、多様性や説得力を持って評価される場面も増えています。

大切なのは、理学療法士を辞める」ことではなく、「自分らしく働く選択をする」こと。資格にとらわれず、興味や価値観に素直に従うことで、新たなキャリアの可能性が開けていきます。

向いている人:
・医療業界の常識に違和感を感じている
・新しいスキルや働き方に挑戦したい
・幅広い業界に興味がある・情報収集が得意

メリット:
・自分の可能性を広げることができる
・働く環境や企業文化が大きく変わることでリフレッシュできる
・給与やキャリアアップの幅も業界次第で広がる

アドバイス:

「理学療法士を辞めるのはもったいない」「本当にやっていけるのか不安」他業種への転向を考えると、そんな声が自分の中でも、周囲からも聞こえてくるかもしれません。

でも、あなたが今感じている「違和感」や「モヤモヤ」は、きっと本心からのサインです。無理に資格にしがみつかなくてもいい。自分の人生をどう生きたいか」という問いに向き合うことが、他業種転向の第一歩になります。

これまで理学療法士として働いてきた経験は、必ずどこかで活かされます。人に寄り添う力、課題を見つけて改善する力、チームで協力する力──これらはどんな業界でも求められる汎用的な能力です。

転職市場では、専門スキルよりも人間力」や「ポテンシャル」が重視される場面も多く、実際に多くの元PTが異業種で活躍しています。最初の一歩は勇気がいるかもしれませんが、新しい環境には新しい出会いや可能性がきっと待っています。

「理学療法士だった自分」を誇りにしながら、「自分らしく働く未来」を、自分の手で選んでいきましょう。

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【自由クリエイトタイプ】汎用性×自由志向

🔗理学療法士キャリア形成の具体的な4ステップ(悩む・選ぶ・極める・届ける)についてはこちらで解説しています。

「自由クリエイトタイプ」は、理学療法士という専門職にこだわらず、自分の関心・才能・感性を活かして、新しい働き方や価値の形を創り出していきたいと考える人にぴったりのキャリアスタイルです。

このタイプの人は「資格に縛られたくない」「もっと柔軟に、創造的に働きたい」「人生そのものを自分らしくデザインしたい」という思いが強く、働き方や職業に既存の枠組みを求めません。

たとえば、デザイナー・ライター・動画クリエイター・インフルエンサー・商品開発・旅する講師・複業フリーランスなど、いわゆる肩書きにとらわれない自由な働き方を自分の手で築いていくスタイルです。中には、理学療法士としてのバックグラウンドを活かして、「健康×アート」「医療×教育」「リハ×地域創生」など、独自の切り口で活動している人もいます。

このキャリアには正解がありません。だからこそ、自分の興味や得意なこと、価値観に素直になり、「こんな働き方があってもいい」と世界に問いかけることが、何よりのスタート地点になります。

必ずしも資格や職歴に依存せず、「自分という存在」そのものに価値を持たせていく。自由クリエイトタイプは、最も不確実でありながら、最も可能性に満ちたキャリアパスのひとつです。

⑦ キャリア支援|自分の経験を活かして貢献

「キャリア支援」は、自身が歩んできた理学療法士としてのキャリアや経験をもとに、他の療法士や医療職のキャリア形成をサポートする役割を担う道です。これは、これからの業界にとって欠かせない、次世代育成・キャリア開発の担い手となるキャリアパスのひとつです。

活動のスタイルはさまざまで、医療人材会社でのキャリアアドバイザー、理学療法士向けの研修・講座運営、就職支援コンテンツの発信、学生や若手PTへの個別相談やロールモデルとしての発信などが含まれます。最近では、自身の経験をSNS・YouTube・ブログなどでシェアするパラレル支援者として活動する人も増えています。

キャリア支援の魅力は、「自分の過去の悩みや遠回りが、誰かの役に立つ」という実感が得られる点です。転職の失敗、悩んだ時期、模索した分岐点そうしたリアルなストーリーこそが、後に続く人の背中を押す力になります。

また、個人で活動を始めやすい分野でもあり、副業としてキャリア相談や情報発信を行うことも可能です。理学療法士の働き方が多様化していく中で、「誰かの選択を支える」というこの仕事は、まさに時代に求められる存在になりつつあります。

あなたの経験が、誰かの人生の転機をつくるかもしれません。それは、技術や知識を超えた“キャリアのバトン”をつなぐ、新しい貢献の形です。

向いている人:
・人の話を聞くのが好きで、共感力が高い
・自分の経験を言語化・発信できる
・キャリア形成に興味がある

メリット:
・他者支援を通じて大きなやりがいを感じられる
・自分の経験が誰かの役に立つ
・副業としても始めやすい

アドバイス:
「自分なんかがアドバイスできるだろうか?」「まだ大したキャリアを築いていないのに」と感じている人も多いかもしれません。でも、キャリア支援において大切なのは「完璧な正解を持っていること」ではなく、「共に考え、寄り添えること」です。

あなたが悩んだ経験、遠回りした経験、挑戦して得た学び──それらは、これからの誰かにとって貴重な道しるべになります。「少し前の自分と同じように悩んでいる誰か」の力になりたいと思ったとき、その想いこそがキャリア支援者としての第一歩です。

また、今は個人でも発信や相談対応がしやすい時代です。Instagramやnoteでの発信、イベント登壇、相談窓口の開設など、できることから始めてみることで、自分の中に眠っていた他者貢献の力に気づくかもしれません。

理学療法士のキャリアは一人ひとり異なります。その多様性を認め、応援し、言葉にできる人の存在が、これからの業界にはもっと必要です。あなたの言葉や経験が、次の誰かの道を照らす光になるかもしれません。

⑧ 異業種での起業|“医療職”の枠を超えて自分のビジネスを創る

「異業種での起業」は、理学療法士としての専門性を一部活かしながらも、医療・リハビリの世界を飛び出し、まったく別の分野で自分のビジネスを生み出すキャリアです。

たとえば、ウェルネスブランドの立ち上げ、地域の複合施設の企画・運営、ヘルスケア×ITのサービス開発、教育コンテンツ事業、クリエイティブ領域での起業など、活動分野は多種多様。共通するのは、「自分のビジョンを自分の裁量で形にしていく」という主体性と創造性です。

起業という言葉には「怖い」「難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、現代はSNSやデジタルツール、クラウドファンディング、少額資金での小規模スタートが可能な時代。実際、医療職出身でありながら、全く新しい領域で起業している人は年々増加しています。

理学療法士として培った「人への共感力」「課題解決力」「継続的支援力」は、どんなビジネスにおいてもコアスキルとして応用可能です。また、身体・健康・教育といった社会性の高いテーマに触れてきたからこそ、ビジネスの設計にも本質的な価値を盛り込むことができます。

「こんなサービスがあったらいいのに」「もっとこうしたい」という違和感や着想は、起業のタネになります。業界の常識に縛られず、社会に新たな価値を提示していく──そんなチャレンジができるのが、異業種での起業という選択です。

向いている人:
・医療職を離れ、ゼロから自分の事業をつくりたい
・自分の興味やスキルを自由に活かしたい
・制限のない働き方に魅力を感じる

メリット:
・やりたいことを事業として形にできる
・医療外の世界に飛び出すことで可能性が広がる
・収入も働き方も自由に設計できる

アドバイス:
「起業なんて自分には遠い世界」「経営の知識も経験もないし」──そう感じるのは自然なことです。でも実際に起業している人の多くは、最初から起業家っぽい人だったわけではありません。
むしろ、「今の働き方に違和感がある」とか、「自分の力で何かを動かしてみたい」という小さな気持ちからスタートしています。

異業種での起業に必要なのは、資格ではなく、「自分だけの問い」や「社会への視点」です。「あのとき困った体験」「こんなサービスがあればよかったのに」といった原体験こそが、事業の原動力になります。

最初から大きな事業を始める必要はありません。小さな実験(例:SNS発信、モニター募集、ワークショップ開催)を繰り返しながら、共感してくれる人を少しずつ増やしていくことが、やがて「仕事」になります。

理学療法士であることに誇りを持ちながら、その肩書きにとらわれない選択もしていい。あなたが描くビジネスは、きっと誰かの人生を前に進める力になるはずです。

まとめ|まずはキャリア事例を「知る」ことから

「臨床を深める」「教育・研究に進む」「副業や発信を始める」「思い切って異業種に挑戦する」──理学療法士にはそんな多様なキャリアが広がっています。

🔗理学療法士のリアルなキャリア事例はこちら

🔗理学療法士キャリア形成の具体的な4ステップ(悩む・選ぶ・極める・届ける)についてはこちら

これまで紹介してきた8つのキャリアタイプは、どれが正解でも優劣でもありません。それぞれに個性があり、背景があり、合う・合わないも人それぞれです。だからこそ、自分の価値観やライフスタイル、これまでの経験に向き合いながら、「どの道がいちばん自分らしいか?」を考えていくことが何より大切です。
あなたらしいキャリアを、あなた自身の言葉と行動で描いていってください。

理学療法士専用のLINEキャリア診断コンテンツをリリース!

質問による意識的な適性と、名前と生年月日から読み解く潜在的な適正を掛け合わせた、理学療法士専用のLINEキャリア診断コンテンツをリリースしました。1分で無料で簡単にできる診断なので、キャリア形成に悩んでいる方はもちろん、試しに使ってみたい方も是非利用頂けると大変光栄です。

【監修者】向井崇敏/理学療法士
ASAP株式会社代表取締役。病院・訪問など医療介護現場にて勤務したのちに独立。2020年に「骨格から美ボディづくり」をコンセプトとしたB.E.Tパーソナルジムを設立。現在はトレーナー教育&ジム開業コンサルティング事業「THE STORY」や、理学療法士向けキャリア形成ナビ「PT Career」を運営。