UPDATED 2025.07.07

「リハ塾マガジン」──膝にフォーカスした専門知識とSNS発信で切り拓く理学療法士キャリア

【監修】向井 崇敏(理学療法士/PT Career運営/B.E.Tパーソナルジム代表)

「目の前の患者さんに本当に意味のあるリハビリを届けたい」
そう考える理学療法士は多い一方で、忙しい臨床現場では
なぜ?」を深掘りする余裕を持ちづらい現実もあります。

今回お話を伺ったのは、整体院に勤務しながら、noteで「リハ塾マガジン」というWebマガジンを運営し、臨床で感じる疑問を深掘り・発信している松井洸さん。
SNSでの情報発信、セミナー講師、Webマガジンの運営と、多軸でキャリアを広げながらも、すべての軸に共通するのは「根拠ある知識を届けたい」という強い想いでした。

松井 洸/理学療法士・Webマガジン運営
高校時代のケガをきっかけに理学療法士を志し、急性期・地域包括ケア病棟で経験を積む。現在は整体院に勤務する傍ら、副業としてnoteで「リハ塾マガジン」を運営。膝関節リハビリの専門性を軸に、SNS・セミナー・執筆など多方面で精力的に活動し、臨床の「なぜ?」に答える実践知の普及に尽力している。

Q. 松井さん、本日はありがとうございます。まずは現在の仕事について詳しく教えていただけますか?

A. はい、こちらこそありがとうございます。
現在は整体院に勤務しながら、noteで「リハ塾マガジン」というWebマガジンを運営しています。
整体院は病院勤務時代の経験を活かしつつ、より自由度の高い臨床を実践できている環境です。

「リハ塾マガジン」では、臨床でよくある疑問や悩みに対して、文献をベースにした視点で整理・解説するようにしています。発信先はnoteですが、内容は単なるアウトプットではなく、自身の学習の整理+臨床家への情報提供+副収入化という三本柱で設計しています。


Q. 「リハ塾マガジン」では具体的にどのようなことを発信していますか?

A. 「リハ塾マガジン」は、自分が臨床で悩んだことや、受講者からよく聞かれる疑問をテーマに、根拠に基づいて構造的に説明するコンテンツとして位置づけています。
たとえば「なぜここに痛みが生じるのか?」といった疑問に対し、論文と臨床経験の両面から整理することで、知識が「使える形」で届くように心がけています。


Q. そもそも理学療法士を志された原点はどんな出来事だったのでしょうか?

A. 高校時代に足首の靭帯を損傷して、地元の整形外科クリニックでリハビリを受けたことがきっかけです。
当時担当してくれた理学療法士の方にリハビリしてもらったことをきっかけに理学療法士という職業を知り、その道を目指しました。


Q. 学びを発信」にまで広げられたのは、どのような経緯からですか?

A. 一番大きかったのは、新卒で入った病院の教育環境が厳しかったことですね。
小規模な総合病院で、PTも少数。正直なところ、体系的に教育を受けられる体制ではありませんでした。
臨床で疑問が生じても、それを相談する相手がいない。「自分で調べて、自分で考える」しか方法がなかったんです。

そこからセミナーに通うようになり、徐々に知識を言語化する力も求められるようになって、あるとき北陸で活動していたセミナー団体の方から声をかけていただき、講師活動が始まりました。
SNS発信はその延長線で、アウトプットとモチベーション維持、さらにはセミナーの集客の一環としてスタートしました。


Q. 若手や学生に向けて、「学び方」についてアドバイスをいただけますか?

A. 僕が一番強く伝えたいのは、「論文を読む習慣を持つこと」です。
今の時代、SNSやYouTubeなどで多くの情報が得られますが、その中には根拠が乏しいものや誤解を招く表現も多いのが現実です。だからこそ、「自分で考えて選び取る力」がすごく大事になってきます。

「〇〇先生が言っていた」ではなく、それはなぜ正しいと判断できるのか」を文献レベルで確認する姿勢が必要です。
僕自身もまだ学びの途中ですが、できる限り信頼性の高い情報を、自分の言葉で発信することを意識しています。


Q. 最後に、これからのビジョンや深めたいテーマがあれば教えてください。

A. これからも膝関節疾患に特化した知識と臨床スキルを深め続けていきたいと思っています。
特に近年は、変形性膝関節症(膝OA)の保存療法に強い関心を持っていて、運動療法や生活指導、教育的介入など、より広い視点からの関わりを模索しています。

「リハ塾マガジン」も引き続き運営しながら、現場の疑問に応える発信メディア」としての価値を高めていきたいです。臨床家の知的体力を支えるような存在になれたら嬉しいですね。


編集後記:

松井洸さんのキャリアは、理学療法士という専門職に「発信力」と「構造化する力」をかけ合わせた、まさに次世代のロールモデルと言えます。

誰かに教わる環境がなかったからこそ、学び続け、調べ、発信してきたその積み重ねが、いま多くの臨床家にとって貴重な情報源となっています。
SNS、note、セミナー──どのメディアでも一貫して感じるのは、「根拠に忠実でありながら、臨床に実装できることを届けたい」という誠実な姿勢でした。

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【監修者】向井崇敏/理学療法士
ASAP株式会社代表取締役。病院・訪問など医療介護現場にて勤務したのちに独立。2020年に「骨格から美ボディづくり」をコンセプトとしたB.E.Tパーソナルジムを設立。現在はトレーナー教育&ジム開業コンサルティング事業「THE STORY」や、理学療法士向けキャリア形成ナビ「PT CAREER」を運営。