UPDATED 2025.06.17

「どう働くかを選ぶ時代」理学療法士が自分らしく働くためのサービス・社会の実現に向けて

【監修】向井 崇敏(理学療法士/PT Career運営/B.E.Tパーソナルジム代表)

理学療法士としてのキャリアは、病院に勤めるだけでは終わらない。医療・介護の枠を超えて、自分の強みや価値観を活かした「新しい働き方」を模索する動きが、いま少しずつ広がりつつあります。

今回はそんな「多角的な働き方」を実践されている隅井太亮さんにインタビュー。訪問看護ステーションでの業務に加え、採用広報、講演活動、企業サポートなど、多彩なフィールドで活躍する隅井さんに、そのリアルな仕事の中身と、キャリアにおける考え方をたっぷり伺いました。

隅井 太亮 理学療法士/個人事業主

1989年7月7日生まれ。新卒で急性期病院に入職し、12年間勤務。現在は訪問看護ステーションにて理学療法士としての訪問業務に従事する傍ら、求人広報、セミナー講師、介護予防事業のアドバイザー、理学療法士協会SNS部会など幅広く活動。現在は企業の採用支援も手がけ、個人向けに働き方支援サービスを立ち上げ中。


Q:はじめまして!まずはご生年月日と簡単なプロフィールを教えてください。

A:1989年7月7日生まれです。新卒で急性期病院に入職してから、理学療法士としてのキャリアをスタートさせました。そこから徐々に働き方や関わるフィールドを広げてきた感じですね。


Q:これまでのご経歴と現在のお仕事について、詳しく教えてください!

A:はい。仕事について、本業は新卒で急性期の病院に12年ほど、その後、今は訪問看護ステーションで訪問リハと求人・広報の役割を担ってます。
個人的には、セミナーや地域講演の講師、介護予防事業関連でのアドバイザー、日本理学療法士協会のSNS部会所属などです。今は企業の採用支援事業の一部を業務委託でしてます。


Q:訪問看護ステーションでのお仕事について、1日の流れや、業務の特徴など教えてください。

A:訪問リハの基本は、自宅に伺ってリハビリを行う形です。1件あたり40分の枠が多く、1日に5〜7件ほど訪問することが多いですね。現在は正社員として勤務していて、勤務時間は9:00〜18:00、土日休みです。特徴的なのは直行直帰が可能な体制で、自宅からそのまま訪問に行き、すべて終わったらそのまま帰宅という日も多いです。天候や交通事情などに左右されることもありますが、スケジューリングがしやすいので、柔軟に働けるのが大きな魅力です。患者さんとの距離も近く、一人ひとりの生活背景に沿った関わりができる点も、やりがいを感じるポイントですね。


Q:採用広報のお仕事もされているとのことですが、どのような取り組みをされているのでしょうか?

A:はい。採用広報の業務では、求人票の作成・管理に加えて、InstagramなどSNSを活用して「職場の雰囲気」や「働く人のリアル」を発信しています。求人票って、どうしても給与や勤務時間といったスペックの情報が中心になりますよね。でも、実際に応募する人が気にするのは「どんな人が働いているのか」「どんな空気感の職場なのか」という部分だったりするんです。そこをSNSでカバーして、少しでもミスマッチ」を減らせたらと考えています。理学療法士に限らず、医療職の人材採用はどんどん難しくなってきているので、情報の届け方も日々アップデートが必要だと感じています。


Q:急性期病院から訪問リハに転職された背景を教えてください。

A:正直に言うと、もともと訪問リハがやりたかったというわけではないんです。どちらかというと、自分の時間をもっと自由に使える働き方をしたかったんですね。それと並行して、個人での活動も広げていきたいという想いが強くなっていたタイミングでもありました。なので、「柔軟な働き方ができる職場環境に移りたい」という意識が転職の決め手でした。結果的に、今の働き方は自分にすごく合っていて、転職して良かったなと思っています。


Q:仕事が多岐にわたる分、苦労されたことや課題も多かったのでは?

A:一番は時間との付き合い方ですね。本業だけでなく個人での活動や委託業務も含めると、日々のスケジュールはけっこうタイトになります。ある時期から、あまりに予定が重なりすぎて、「このままだと長く続かないな」と感じるようになったんです。それで一度立ち止まり、自分にとって大事なこと、続けたいことを整理する時間をとりました。勇気は要りましたが、いくつかの活動は手放して、「選ぶ力」を持つようになったのが大きかったと思います。


Q:時間管理のコツ普段から工夫していることがあればぜひ教えてください。

A:特別な工夫という訳ではないですが、本業の特性上、業務の合間や朝晩など活用できる隙間時間がけっこうあるのでそこを利用しています。あとは、タスク管理としてやる事を書き出して、急ぎのものや大事な物とそれに要する時間を考えてどの隙間時間にするかを常に考えています。


Q:これからのキャリアで目指していることはありますか?

A:今は本業と企業のサポートですが、個人向けにひとつ企画をしています。自分が働き方を色々悩んで考えてきた結果、割と自分が納得して思うように働いています。これは自分自身の価値観を把握して、強みや好きを言語化して考えてきた結果だと思っています。こういった自分に対しての「問い」をベースに、自然と継続できるような仕事作り「0→1」をサポートできるサービスを構築している途中ですね。


Q:具体的にどのようなことを現在行っているのでしょうか?今後の展開予定も差し支えない範囲で教えてください!

A:今は内容などの細かいところを言語化して調整しています。今後は、夏くらいに一度働き方を広げるための無料セミナーを予定しているので、是非参加して頂きたいですね。


Q:最後に、学生や若手の理学療法士さんに向けてメッセージをお願いします。

A:理学療法士は素敵な仕事です。しかし、「理学療法士」という言葉に縛られるとしんどくなることがあります。それは、何となく頭の中に理学療法士はこうあるべきっていう理想像があるからです。身近でバリバリ理学療法やってる先輩・同期と同じようにできないと自分の価値を感じられなくなり、働く意欲がなくなっちゃいます。理学療法士はあくまで資格なので、これからは自分「個人」として何が強みで、また何なら辛くなく続けられるのかを自分と向き合いながら考えて、進んでいく必要があります。一歩踏み出す勇気が必要なタイミングもあります。自分が何のためにこの仕事をしているのか?ということを忘れず日々過ごしてみて下さいね。

編集後記:

病院での12年間の経験、訪問リハでの実践、求人広報としての戦略的視点、さらにキャリア支援事業の立ち上げへ──隅井さんのキャリアは「理学療法士」という枠にとどまらず、自分の生き方」を軸にしたものへと進化し続けています。

自分の価値観や強みを言語化し、それをベースに働き方を設計する——そんな未来志向の考え方は、これからキャリアを築いていく学生や若手PTにとって、きっと大きなヒントになるはずです。

「資格の先にある自分らしい働き方を考える」そんな問いを持つきっかけになれば嬉しいです。

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【監修者】向井崇敏/理学療法士
ASAP株式会社代表取締役。病院・訪問など医療介護現場にて勤務したのちに独立。2020年に「骨格から美ボディづくり」をコンセプトとしたB.E.Tパーソナルジムを設立。現在はトレーナー教育&ジム開業コンサルティング事業「THE STORY」や、理学療法士向けキャリア形成ナビ「PT CAREER」を運営。