【監修】向井 崇敏(理学療法士/PT Career運営/B.E.Tパーソナルジム代表)
今回お話を伺ったのは、地域イベントや福祉の現場で活躍する“®理容療法士”という独自の肩書きを持つフリーランスPTの方。
訪問理美容の現場において、「ただ髪を切る」だけでは解決できない課題と向き合い、
理学療法士としての視点で、日常を支える「新しい福祉」のあり方に挑んでいます。
常識を飛び越えて、「好き」と「できる」を融合させたそのキャリアに迫ります。

間宮文人 理容療法士/理学療法士×理容師
2016年に理学療法士免許を取得し、病院勤務やデイサービス部門の責任者を経験。2020年、理容師への転身を志し一時理学療法士を離れたのち、両資格を活かして「福祉理美容」という新しい領域に挑戦。「日本一福祉に詳しい理容師」「散髪できる理学療法士」として、地域行事・施設訪問・啓発活動など幅広く活躍中。自身の活動を®理容療法士と定義し、業界を横断する架け橋的存在を目指している。
Q. 本日はありがとうございます!さっそくですが…理学療法士と理容師、かなり珍しい組み合わせですよね?
A. そうですよね(笑)。
たぶん最初は誰でも「え?なんでPTが髪切ってんの?」って思いますよね。
僕も最初はただの興味だったんです。でも、訪問リハの現場で理美容師さんが苦労している姿をよく見ていて。
福祉用具の操作が難しかったり、利用者さんの身体状況に合わせた対応に戸惑っていたり…。
そのときふと、「あれ、自分なら両方できるし、むしろ向いてるんじゃ?」って思ったんです。
そこが原点ですね。
Q. そこから本当に理容師に“転身”されたわけですね。勇気が必要だったのでは?
A. もう、めちゃくちゃ要りました(笑)。
PTの仕事が嫌いだったわけじゃなくて、むしろ大好きで。だからこそ「一度手放す」っていうのは正直キツかったですね。
誰かに「そんなの無謀だよ」って言われてもおかしくない。でも、やっぱり“武器を持って戻ってくる”っていう思いが強かったです。
Q. その“武器”というのは…?
A. 僕の中では、理学療法士のスキルって、医療現場だけにとどめるにはもったいないと思ってて。
白衣を脱いでも、病院を離れても、必要とされる強みがあるって信じてました。
福祉理美容って、要は「訪問カット」なんですけど、そこには環境への配慮や身体への理解が必要なんですよね。
だから、理学療法士が入っていく余地はすごくあると思ってます。
Q. 現在はどのような活動をされているんですか?
A. 今は、「®理容療法士」として地域イベントに出たり、福祉施設に伺ったりしています。
理容だけでもPTだけでも対応できないケースに対して、“二刀流”でサポートしていく。
あと、業界内外への啓発活動もしていて、
「理学療法士がこんなところにもいるんだ!」って知ってもらえるように動いてます。
Q. すごくユニークなキャリアですね!その発想力がすごいです。
A. ありがとうございます。でも、これは後輩たちにも伝えたいんですけど……
「理学療法士しか知らない」っていう状態は、実はちょっともったいないと思うんです。
もちろん専門性を深めるのも大事。でも一歩下がって、「このスキル、他の業界で使えないかな?」って見てみると、
PTって本当に万能な仕事なんですよ。
だから、“どう活かすか”の発想を大事にしてほしいです。
Q. 最後に、今後の目標を教えてください。
A. 一言で言うと、「架け橋になりたい」ですね。
医療・福祉と理美容って、使ってる言葉も文化も全然違う世界なんですよ。
その間には、たくさんの“伝わらなさ”や“行き違い”があるんです。
でも僕は、その両方を知ってる立場として、つなぐ役割が果たせると思ってます。
そして、業界を超えて“掛け合わせて働く”という姿そのものが、誰かのヒントや前例になれたら嬉しいです。
編集後記
「福祉に詳しい理容師」「散髪できる理学療法士」──最初はユニークな肩書きに驚かされましたが、話を伺ううちにその背景にある深い問題意識と優しい視点に心を打たれました。
理学療法士という専門性が、病院という枠を越えて誰かの“生活”に寄り添っていく未来。
その第一歩を体現するようなキャリアに、これからの可能性が詰まっているように感じました。
型にはまらない挑戦を応援し、自分自身の選択肢として捉えるきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
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【監修者】向井崇敏/理学療法士
ASAP株式会社代表取締役。病院・訪問など医療介護現場にて勤務したのちに独立。2020年に「骨格から美ボディづくり」をコンセプトとしたB.E.Tパーソナルジムを設立。現在はトレーナー教育&ジム開業コンサルティング事業「THE STORY」や、理学療法士向けキャリア形成ナビ「PT CAREER」を運営。